趣味

講師と講師キラー


2021.07.25

左/木村一基九段、右/斎藤明日斗四段 撮影:河井邦彦

第71回NHK杯1回戦第8局は、木村一基(きむら・かずき)九段と△斎藤明日斗(さいとう・あすと)四段の対局となった。雨宮知典さんの観戦記から、序盤の展開をお届けする。

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*  *  *

 

引きが強いね

 

講師の登場です。冒頭のミニインタビュー収録のとき、カメラの前に立った木村九段に、スタッフが「リハーサルをしますか、それとも本番にしますか」と聞きました。木村九段はニッコリと「本番で」。余裕です。

 

対局の数日前に、筆者が「前回のトーナメントは講師の稲葉陽八段が優勝しましたね」と挑発半分で聞いたときも「あまり気にしません。プレッシャーになるだけです」と軽~く、しのがれました。さすがです。

 

斎藤四段とはあまり交流の機会がなかったようですが「明るい性格で、鋭い攻め将棋」と印象を語ります。

 

その斎藤四段は、2年連続で予選を勝ち抜いての本戦出場です。本人が「点くらい」と自己採点する予選の戦いは、今月号の付録をごらんください。

 

本戦初出場の昨年は、1回戦で阿久津主税八段を破りました。おや、2年連続で講師との初戦ですね。「われながら、いい引きをするな」と、斎藤四段は不敵な笑みを浮かべました。

 

あ、メール取材での回答なので顔は見ていません。ちょっと創作してしまいました。

 

受け将棋って…

 

対局は木村九段の先手で相掛かりになりました。両者の得意戦法なので、予想された戦型です。ただ、先手が1図のように、早めに飛車先の歩を交換して2六飛型にするのは、令和の最新形ではなく昭和の流行形。木村九段は若手を自分の土俵に引きずり込む作戦です。

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斎藤四段は、このまま不慣れな形に組み合って、先に仕掛けられるのは避けたいと思いました。そして△3五歩(2図)!

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そこを後手から突くか、という驚きの仕掛けですが、▲3五同歩なら△3六歩▲同飛△8八角成▲同銀に△2七角の飛車金両取りがあり、先手は意外に対応が悩ましいのです。

 

斎藤四段の攻めが続きます。3図の△6六歩は、▲同歩なら△6七銀▲同玉△4九角の王手金取りが厳しい攻めです。また、△6六歩では△3六歩▲同飛△4九銀▲同玉△6九角の飛車金両取りを狙うのも有力でした。

 

どうしてこんな気持ちのいい攻め筋が生じてしまったのでしょう。3図の8手前の▲5八玉が問題でした。木村九段は「ぜんぜん安全になっていない」とあきれています。▲5八玉では7七金と厚く備えるか、攻めてみろと▲3五歩で手を渡す方が良かったかもしれません。

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斎藤四段のペースになりました。鋭い攻め将棋という評判通りの切り込みです。本人に棋風の自己紹介をお願いしたら「マニアックな路線が多い居飛車党の受け将棋」という回答でした。

 

はいはい、やっぱりそうですよね……って、ちょっと待って。受け将棋…?

 

※投了までの棋譜と観戦記はテキストに掲載しています。

※肩書はテキスト掲載当時のものです。

 

■『NHK将棋講座』2021年7月号より

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