趣味

「師匠のおかげです」と伝えるために──稲葉陽八段、飛躍を誓う


2021.04.15

撮影:河井邦彦

『将棋フォーカス』講座「稲葉陽の急戦でノックアウト」も3月で最終回を迎えました。講師を務める稲葉陽(いなば・あきら)八段が、テキストで連載中のコラム「加古川発!イナバウアーの日々」で、講座での経験を生かし、さらなる飛躍を誓いました。

 

*  *  *

 

師匠の井上慶太九段と初めて会ったのは小学2年生の夏休み。師範をされていた加古川将棋センターの夏休み子ども教室でした。当時はプロ棋士というものをまだ理解していませんでしたが「優しそうな先生だな」と子ども心に思いました。

 

道場で三段か四段になったときに「玉が堅い将棋ばかりを指すのはよくない」とアドバイスされた記憶があります。居飛車穴熊を覚えてよく指していましたが、基礎を固める段階から玉の堅さに頼ってしまうことを危惧されたのでしょう。

 

急戦の将棋は怖さもありますが、攻めの技術の向上、駒や囲いの急所をより知ることができます。当時の私に今回の講座はまさにうってつけなのです。

 

奨励会入会後は例会で指した棋譜を送って講評をいただいていました。当時の私の字はとても読みにくく、達筆の師匠はさぞかし難儀したことでしょう。一門の棋士と久保利明九段で旅行したときに、その棋譜を持っていき皆の前で並べました。元気のいい少年時代の指し手を見て、懐かしい気持ちになったものです。

 

奨励会5級のころ、師匠が関西奨励会の幹事に就任しました。当時の私はものすごい早指しで、一番初めに対局が終わるということも珍しくありませんでした。師匠は幹事の業務をこなしつつも、弟子の成績は気になっていたでしょうね。

 

三段リーグ2期目の最終日は1勝すれば昇段も、まさかの連敗。速達で手紙が届きました。最終日の前にもっと言葉をかけることができたのに、それをせず反省している、申し訳なかった、と――。

 

それから一門の弟子が四段昇段のチャンスを迎えたときは、必ず言葉をかけていると聞きます。私が四段昇段を決めることができたとき、お祝いの食事会を開いてくださり、そのときのうれしそうな師匠の顔は忘れられません。

 

あれから10年以上の月日が流れました。タイトルを獲得し「師匠のおかげです」とお伝えするのが最高の恩返しだと思っています。今回の講座をきっかけに、決意を新たにして頑張っていく所存です。

 

■『NHK将棋講座』連載「加古川発!イナバウアーの日々」2021年3月号より

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