趣味

藤沢里菜女流本因坊、緊張のNHK杯自戦解説


2021.03.08

左/藤沢里菜女流本因坊、右/大西竜平七段 撮影:小松士郎

第68回 NHK杯 2回戦 第16局は【黒】藤沢里菜(ふじさわ・りな)女流本因坊(黒)と【白】大西竜平(おおにし・りゅうへい)七段の対局となった。藤沢女流本因坊の自戦解説から序盤の展開を紹介する。

 

*  *  *

 

私がNHK杯に初めて出演したのは約7年前で、読み上げの担当でした。読み上げ係は緊張しましたが、その翌年のトーナメントに初出場させていただいた時の緊張感と比べるとかわいいものだったなと思います(笑)。NHK杯は全国の囲碁ファンに見てもらう絶好の機会なので、ふだんの対局とは違った緊張感があります。ふだんの対局場である日本棋院ではなく、スタジオで収録対局ということも影響しているでしょう。

 

私は早碁が好きで、練習碁も早碁が中心です。ただ、成績は持ち時間が長い碁のほうがよくて、早碁棋戦ではあまり結果を残せていません。女流棋戦では女流棋聖(早碁棋戦)だけを獲得していないのが物語っています。自分では時間がなくなるとミスをしやすい傾向があるのかなと感じています。同じ女流では愛咲美ちゃん(上野愛咲美女流最強位)はミスが少なく早碁に強い印象があります。初タイトルも女流棋聖でした。

 

AI流は定石のようなもの

 

大西くん(竜平七段)は真面目でAI研究に熱心なイメージがあります。白10のダイレクト三々も、大西くんならくるだろうと予想していました。とはいえ私も黒5などと序盤そうそうに三々に入ることも多いです。AIを意識しているわけではありませんが、定石の一つとして研究している感じです。

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奇想天外な大西七段

 

私はしっかり構えて地を取っていく棋風だと思います。大西くんも基本的にはしっかりタイプだと思うのですが、よく奇想天外な手が出てきて驚かされています。

 

左上の白20とシマリへ回ったのには驚いた方も多いかもしれません。1譜の白18と右下をツメて、さあ開戦だ!という話なのに、あっさりと手抜き…。早速の大西ワールドです。でも、この進行は見たことがあるような気がしたのでそこまで驚かずに済みました。

 

黒23と守りましたが、ここはいろんな選択肢がありました。私は白22に対してどう守るかとしか考えませんでしたが、少し堅かったようです。見学に来ていた一力(遼碁聖・当時)さんは黒61と先に様子を聞いて、白の動き方しだいで方針を決めたいと話していました。碁盤を広く使う打ち方ですが、私には気付きにくい発想です。白24が黒23をとがめる好手で、黒25と利かされては白の技ありです。右辺を動きにくい白は26から戦いを仕掛けてきました。黒31までは一本道でしょう。

 

そして白が32の打ち込みを選んだことで、本格的に戦いが始まりました。黒33から白38は先手で決まります。続いての黒39では1図の黒1、3と戦うべきだったかもしれません。対局中は白8のシチョウで取られると思って採用しませんでした。しかし、黒a の逃げ出しでシチョウにはなっていません…。このシチョウは大西くんも勘違いしていたようで、検討の時には一緒に驚いてしまいました。早碁は恐ろしいものです…。
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対局中は黒45で黒も立派かなと思っていましたが、よく見れば白の形も立派ですね。

 

そして、白50がまたもや大西ワールド。利かし方が難しいところでしたが、少し離れた場所の白50は気付きませんでした。これに調子が狂ったのか、黒51は堅すぎたようです。黒51では左上での戦いに備えて、Aと左側に力を入れたほうがよかったでしょう。 09189022021_p048_02

 

対する白54から59までは定石のようなもので一本道ですが、白60に関しては堅すぎたように思えます。黒61を利かしてから…。

 

※終局までの棋譜と観戦記はテキストに掲載しています。

※段位・タイトルは放送当時のものです。

 

■『NHK囲碁講座』2021年2月号より

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