新しいライフスタイルが定着しつつある今こそ!盆栽を始めよう


「盆栽」といえば日本が世界に誇る園芸文化です。ところが、その魅力や見方さえじつはよくわかっていないことがありませんか? 盆栽園の二代目として、多くの鉢と日々向き合っている盆栽家の中川竹春(なかがわ・たけはる)さんに楽しみ方を教えてもらいました。
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小さな鉢に移した自然を眺め想像する楽しみ
美しい自然を目にすると写真を撮りたくなるように、昔の人は野山の若木を持ち帰り、器に植えて眺めました。
「盆栽は自然の植物を鉢に移し、眺めて景色を想像する楽しみです」と、中川さんはいいます。
「難しいルールはないので、さまざまな要素を総合した見栄えを味わってください」
長く持ち込み手入れしながらつくっていく
「変化が乏しく見えるマツも枝先や葉は毎年一年生。生き物だから枯れることはありますが、長く持つことで年月を感じさせ落ち着きが生まれます。盆栽は長く持ち込める(鉢に植えて生育される)ことが一番の特徴です」
盆栽にはどんな種類があるの?
盆栽では、クロマツやシンパクなどの常緑針葉樹を「松柏盆栽」、それ以外の樹種は「雑木(ぞうき)栽」と大きく2つに分けています。雑木盆栽のなかには実を楽しむ「実もの」や、花を楽しむ「花もの」などもあって多彩です。また、盆栽を室内に飾るときに“添え”として扱われていた「草もの」は、草もの盆栽として人気を集めています。
松柏盆栽
ゴヨウマツやクロマツなどの常緑針葉樹は、力強さや長寿をイメージさせる格上の木とされ、「松柏盆栽」と呼ばれる。時間をかけて、幹肌を特徴とする風格や品のある盆栽につくり、焼き締めの鉢に仕立てる。写真はゴヨウマツの根上がりというスタイル。
雑木盆栽
常緑針葉樹以外の幅広い木々を「雑木盆栽」と呼ぶ。春の芽吹きや秋の紅葉など、四季の変化が味わえて、松柏盆栽に比べると年月をかけなくても楽しめるのが特徴。繊細な枝ぶりを生かし、釉薬をかけた鉢に仕立てる。写真は紅葉が美しいカエデ。
草もの盆栽
盆栽の“添え”として飾られてきたササや山野草など、草花の盆栽を「草もの盆栽」という。素朴で可憐な姿を小品盆栽としても楽しむことがふえた。写真の斑入りツワブキのように単植だけでなく寄せ植えもできる。
■『NHK趣味の園芸』2021年2月号より