映える「ミニ盆栽」でおうち時間に彩りを


おうち時間の楽しみとして、植物を育てながら、それらの写真をSNSに投稿する人がふえています。なかでも、注目を集めているのが手のひらサイズのミニ盆栽。小さな一鉢がそばにあるだけで自然を感じられる、その魅力を園芸研究家の山崎(やまざき)ちえさんが紹介します。
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小さきものはみなかわいい!
日本でいつから盆栽が始まったのかについては諸説あるものの、鎌倉時代の絵巻物に盆栽が描かれていることから、少なくともそのころから愛好されていたようです。当時の人々も、小さな鉢に収めた木々を身近に置くことで、自然を感じていたのかもしれません。
「ちいさきものは、みなうつくし(かわいい)」
清少納言は『枕草子』の中で、小さいもののかわいらしさを細かにつづっています。
ミニ盆栽は、小さいものを愛し、いろいろなものを小型化してきた日本の“お家芸”ともいえるでしょう。見た目のかわいらしさを愛でるだけでなく、自然を感じながら、身近に小さな植物を育てる喜びをぜひ味わってみましょう。
鉢植えとの違いは飾って見せること
鉢に入った植物という点では、盆栽と鉢植えは同じですが、1つ大きな違いがあります。それは、盆栽は「きれいに飾って見せるもの」であること。来客などに合わせていい場所に飾って見せるため、常に手入れをして見栄えをよくしておくという意識が盆栽にはあります。
鉢植えでは、新しく枝や葉が伸びてきたとき、「かわいそうで切れない」という人も少なくないと思うのですが、盆栽だと、「手入れされずにボサボサなままでかわいそう」という考え方になります。
飾って見せることへの意識から、背丈の低い鉢や小さい鉢で樹木を大きく見せたり、鉢の近くに添配(てんぱい)と呼ばれる小物を置いて、景色や季節感を演出したりすることもあります。まさに“映える”景色をつくるという意識のもと育てているといえるかもしれません。
※テキストではクロマツのミニ盆栽のつくり方を紹介しています。
■『NHK趣味の園芸』2021年2月号より