趣味

史上最年少で天元獲得 柳時熏九段が強くした思いとは


2013.06.01

柳時熏九段
撮影:藤田浩司

1994年、23歳で史上最年少の天元となった柳時熏九段。久しく続いた「ビッグ6絶対」の殻が柳によって打ち破られ、新しい時代の扉がついに押し開けられた瞬間だった。

 

周囲の誰もが、そして何より柳自身が信じられなかったというこのタイトル奪取の後に、去来した思いとは——?

 

*  *  *

 

第4局の終局直後は何も考えることができず「奇跡が起こった」としか思えませんでした。誰一人、僕が勝つなんて考えていなかったはずです。実際に僕自身が信じられなかったのですから。

 

でも、それからしばらくたつと、タイトル保持者としての自覚が出てきました。少し前までは「ちょっと成績のいい若手」という程度の立場だったのが、これからは「天元」と呼ばれるわけで、僕が打つ碁には今後すべて記録係がつく——「ヘタな碁は打てない」と意識するようになり、同時に「もっと勉強しなければ」との思いも強くしました。

 

そして周りを見渡せば、タイトル保持者はすごい先生ばかり。その中に僕がいきなり入ってしまったわけですから、これもすごいプレッシャーになったものです。

 

その思いもあって「翌年に防衛してこそ本物だ」という意識は強かったです。林先生からタイトルを奪えたのは、やっぱり若さからくる勢いの後押しがあったことは間違いなかったですから…。1年間待ち、挑戦者を破って防衛して初めて認められる——この思いで、その後の1年間は過ごしていました。

 

第1回 柳時熏九段 「天元取っちゃったんじゃないの」の言葉に重圧

 

■『NHK囲碁講座』2013年5月号より

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