趣味

ブックデザイナー・祖父江慎さんが追い続ける『ピノッキオ』


2020.11.28

玄関を入ると両側に圧倒される量の本が。右側に『南総里見八犬伝』が江戸の天保期から現代まで順に並び、左側に国語の教科書が時代順に並ぶ。撮影:木村文平

祖父江 慎(そぶえ・しん)さんは、コミック、小説、写真集、絵本など、数多く書籍の装丁を手がけ、常識や枠にとらわれない斬新なアイデアでつねに世間を驚かせ続けているブックデザイナー。オフィス兼自宅を建てたとき、本棚はほとんどを作りつけにしたものの、蔵書は増える一方だと言います。そんな「文字で表現されているもの」が大好きな祖父江さんには、追いかけ続けている3つのタイトルがあります。

 

*  *  *

 

同じタイトルの本を追いかけ続けるから、見えてくることがある

 

同じタイトルの本を並べて比べるようになったのは、『坊っちゃん』から。「日本の100年の、文字や文字組みの変化を追いかけてみたくなったんです。たくさん出版されているから、いちばんお金がかからずに、流れを追えると思って」と祖父江さん。

 

本という媒体の形式は同じにもかかわらず、110年以上前に書かれた物語が変化を遂げていく。そんな時代にもまれる表記の変遷を知ることができるのが、ひとつのタイトルを追いかけるおもしろさだそうです。

 

「文字の組み方によって同じ内容でも違ったふうにとらえられる。少しよそよそしいと感じるものもあるし、フレンドリーなものもあるんですよ」

 

さらに100年遡って、流れを知りたくなって取り組んだのが『南総里見八犬伝』であり、世界の変化をと思って注目したのが『ピノッキオ』。この3タイトルは、新しいものを見つけるたびにチェックするため、祖父江さんは、現在進行形で同じ小説を“読み”続けているのです。

 

『ピノッキオ』

 

「『ピノッキオ』の原作は、じつは大長編。ギャグなのか、ホラーなのかわからない、変な話なんですよ」。文字や絵、ヴィジュアル表現の変遷だけでなく、本ごとのストーリーの変わり方にも注目して読んでいます。

 

子ども用に短くするにあたって、どこを端折(はしょ)るか。時代によっても国によっても違って興味深い。視覚的な表現もみんな違う。「だから読み方にも正解はなく、自分なりの理解をしていいのだと、教えてもらいました」

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■『NHK趣味どきっ!こんな一冊に出会いたい 本の道しるべ』より

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