趣味

菊池亜希子さんの大切な一冊


2020.12.01

撮影:馬場わかな

多くの女性誌でモデルとして活躍し、女優としても注目を集めてきた菊池亜希子(きくち・あきこ)さん。一方で、自身が編集長を務めるムックを何冊も刊行したり、エッセイを執筆したり。多彩な才能を開花させ、多分野で活躍しています。プライベートでは2歳の長女と、そして生まれたばかりの長男のママでもあります。

 

*  *  *

 

菊池さんにとって、本を読むことは、昔から身近なこと。年齢、悩み、環境などが変化するなか、そのときどきに気になる本を手にしてきました。とはいえ、今は、子育て真っ最中。じっくりと本と向き合う読書からは、少し遠ざかっています。

 

でも、そんな時期だからこそ、手に取り、助けをもらう本もあります。まず、挙げてくれたのが、写真家が自身の家族の日常を切り取った写真集。心が急(せ)く日々に、ほっとした潤いと、安心感をもたらしてくれている存在のようです。

 

また、最近は、過去に読んでいた漫画の再読も。「母親目線で読んだら、子どものころとは、かなり印象が変わりました」と、自分の心のうちの変化も楽しんでいます。

 

そして、やはり読み聞かせも含め、子どもと読んでいる絵本の存在感が、今は大きくなっています。絵本をいっしょに見ながら娘さんがつくるストーリーに耳を傾けたり、娘さんと自分との共通項を発見したり。ひとりでする読書とは違う楽しみを見いだしています。

 

「これからは、きっと子どもを通じて、本との再会があると思うから、それも楽しみです。もう一回子どもをやれるような気がして」

 

* * *

 

20代のころは恋愛小説だったり、30歳になる前は、いろいろな葛藤で気持ちがぐるぐるしていたので、先輩女性たちが主人公になった小説だったり。以前はもっと読む時間があり、「そこに答えが書かれているわけではないけれど」、本からたくさんのことを得てきた菊池さん。

 

一方で、なにかを得られそうだから、身になりそうだからという理由で、読む本を選んでいた時期もあったのだそう。でも、それがプレッシャーになり、しんどいと感じてしまうこともありました。

 

「洋服選びと似ている気がします。背伸びしてチャレンジっぽい洋服を買っていたこともあるんですが、どうしても自分にはなじまなくて……。いつしか“前向きにあきらめる”ことを覚えました。本も同じで、なにかのためにと、無理をするのではなく、自分が読みたいものを読めばいいと思うようになってきましたね」

 

だから、時間がない今も、たくさん本が読めないことへの焦りは感じないのだそう。今は、子どもたちの成長物語をどっぷり吸収する時期。子どもが成長したら、じっくりと本と向き合う時間は、またきっとあるはずだから、今は、今の自分に合った読書を楽しめばいい。「読書は、心地いいのがいちばんだと思うから……」

 

『ザボンの花』  庄野潤三/みすず書房

 

「大切な本は、そのときどきで変わりますが、今、選ぶなら」と前置きのうえ、紹介してくれた一冊。昭和30年代、3人の子どもがいて、東京郊外に暮らす家族の物語です。菊池さんが一言で説明すると、「すごく美しく情景を切り取った『サザエさん』」なのだとか。「今、こういう物語を自分はつむいでいる真っ最中と思わせてくれる大切な小説です。大きな事件が起こるわけではないんですが、幸福ってこういうことかな?って感じます」

 

■『NHK趣味どきっ!こんな一冊に出会いたい 本の道しるべ』より

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