趣味

「第2の羽生」から「普及名人へ」― 元奨励会三段の新たな挑戦


2014.12.03

笑顔あふれる贈呈式会場の様子(右から2番目が、天野さん) 撮影:藤田浩司

9月19日(金)、第26回将棋ペンクラブ大賞の贈呈式が東京・四谷で行われた。観戦記部門・文芸部門・技術部門それぞれに大賞と優秀賞が選出され、会場は受賞者とそれを祝福するファンの笑顔に包まれた。

 

文芸部門大賞を受賞したのは、元奨励会三段で、現在もアマチュア棋戦で活躍する天野貴元(あまの・よしもと)さん。その師である石田和雄(いしだ・かずお)九段が乾杯の音頭を取った。

 

「天野くんは『第2の羽生』になる才能だと思っていたので、彼がタイトルを獲得したらスピーチをする機会はあるのかなと考えていました。それはかないませんでしたが、こうした場でお祝いができて非常にうれしいです。天野くん、受賞者のみなさんおめでとう。乾杯!」という石田九段のスピーチに、会場は大いに沸いた。

 

天野貴元さんの『オール・イン 実録・奨励会三段リーグ』(宝島社) は、自伝的な内容。天野さんは、石田和雄九段門下で奨励会に入会し将来を嘱望されていたが、年齢制限により三段で奨励会を退会。その後、若くして舌がんのステージ4を宣告されるなど、壮絶といえる半生を綴っている。過酷な状況を描いていながら、どこかさわやかなユーモアを感じさせる本書は、大きな反響を呼んだ。

 

受賞者スピーチで「棋士になって名人になるという夢はかなわなかったが、今後は『普及名人』になるという新たな夢に向かって頑張りたい」と抱負を述べた天野さんに話を聞いた。

 

「この本を書く動機はいろいろとありましたが、奨励会時代の仲間たちに読んでほしいというのもその一つです。年齢制限などで奨励会を退会すると、その後、『将棋の駒を見るのも嫌だ』と言って完全に将棋を捨ててしまう人もけっこういます。僕はそれはもったいないんじゃないかなと思います。少なくない時間を将棋に捧(ささ)げていたのだから、たとえ自分が将棋を指すのでなくても、何らかのかたちで将棋に関わったほうが今後の人生も楽しくなるんじゃないかな、というメッセージを込めているつもりです。僕の場合はこの本を書くこともその試みのひとつ。なので、今回文芸部門の大賞をいただいたことは非常にうれしいです」と語ってくれた。

 

■『NHK将棋講座』2014年12月号より

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