佐藤天彦七段が結婚式で見た棋士たちの意外な特技
『将棋講座 2014年6月号』で、及川拓馬五段と上田初美女流三段の披露宴に出席したエピソードを披露した佐藤天彦(さとう・あまひこ)七段。今度は村山慈明(むらやま・やすあき)七段の披露宴にお呼ばれ。会場で棋士たちが見せた以外な特技とは……?
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村山さんと初めて話したのはお互い三段のときで、10年以上前になります。そのとき僕は関西所属でしたが、所属が関東に移ってからは研究会などでも一緒になり、友達として仲良くなっていきました。それからは渡辺明二冠や戸辺誠六段を交えて遊ぶこともあり、とてもお世話になっている先輩です。
村山さんはおおらかで優しく、人なつっこい性格。年の離れた先輩方からも可愛がられている印象があります。
結婚のお相手は一般の方で、ご新婦とのおつきあいの話は以前から聞いていたところです。結婚式の日程も早いうちから教えてもらい、その準備の様子に関してもいろいろと話してくれていました。そういうこともあり、「いよいよ今日なのか」と、本人でもないのに感慨にふけってしまっていました(笑)。
そして、今回は披露宴の受付を務めました。受付は初めての経験。それでも安心してできたのは、戸辺さんが一緒だったのと、親しく身近な将棋関係者がとても多かったからでしょう。
それに、友人の晴れの日にささやかではありますがお手伝いができたのはうれしかったです。
さて、披露宴は羽生善治名人や桜井昇八段(村山さんの師匠)、そして新婦友人の方のスピーチ(幼稚園からの幼なじみだそうです)などで進んでゆき、余興では金井恒太五段のピアノ演奏がありました。
金井さんのピアノの腕前は関係者の間では有名なのですが、僕は聞いたことがありませんでした。金井さんは今回、4〜5分くらいある曲をしっかり弾ききっていてすごかったです。
そして、続く二次会では超大物司会が登場。最初声を聞いたときは“渡辺二冠”と気づかなかったほど板に付いた話しぶりでした。もう一人は戸辺さんで、受付、司会と大活躍です。
この渡辺さんと戸辺さんのコンビで会は進行することになりました。ここではミニゲームがふたつ行われ、まず最初に“30秒スピーチ”(スピーチをして、30秒により近い時間に終わらせた人の得点が高い)です。
“ハッシー”の愛称でおなじみの橋本八段が先陣を切り、32秒という好タイムで会場を沸かせます。他にも新婦側友人の方の3分以上にわたる思いのこもったスピーチや、豊川七段がまさかのピタリ賞を出すなど、盛りだくさんの内容でした。
次に“じゃんけん(ぐー、ちょき、ぱー)で答える新郎新婦3択問題”がありました。新郎から新婦への初めての贈り物。新婦が新郎に初めて怒ったときの理由(笑)、などなど。僕も村山さんからいろいろ聞いていたはずでしたが、その割には当たらなかったかなあ。
そうやって披露宴〜二次会と、楽しく幸せな雰囲気であっという間に過ぎていきました。
やはりこういう会はいいものだとあらためて思います。村山さんご夫妻、本当におめでとう。
■『NHK将棋講座』2014年8月号より