趣味

森内俊之竜王・名人、次なるタイトルはバックギャモン世界チャンピオン?


2014.04.17

下平憲治さん(左)との対局。  撮影:遊駒スカ太郎

偶然性と戦略性があいまって将棋棋士にも愛好者の多いゲーム、バックギャモン。観戦記者の遊駒スカ太郎氏が、ボードゲームを趣味とする森内俊之(もりうち・としゆき)竜王・名人の、プライベートに迫った。

 

*  *  *

 

以前森内俊之さんの母・節子さんに、森内さんがどんな少年だったかを尋ねたことがある。「俊之は好きなものにはスキスキオーラが出ている子供でした」と節子さんは教えてくれたのだが、現在、森内さんがその「スキスキオーラ」を身体中から発している種目がある。それがバックギャモンである。

 

「スカさん、バックギャモンをやりましょう」と森内さんから突然のメールがあったのは12月中旬のことであった。思い起こせば今から8年ほど前になるだろうか。バックギャモンなんて全く知らなかったオイラをゲームに誘いこんだのが他ならぬ森内さんであり、以来、オイラはこの魔のゲームにずっぽりとはまってしまうことになった。研究に費やした時間はかなりボーダイであり、オイラは『Cube Action 1000』という本を出版するまでにのめり込んでしまった。その本を出版するためにパソコンを駆使したオイラは、にゃんとXGというバックギャモンソフトのポジション解析数で現在のところ暫定日本記録保持者だったりするのであ〜る。

 

そんなオイラを横目に森内さんは本業の将棋が忙しく、年に数回バックギャモンを楽しむという控え目なスタンスを取っていたのだが、12月にバックギャモンをプレーしたときに目の当たりにしたのは、母・節子さんが語っていた森内さんの「スキスキオーラ」である。これはもうオーラだから隠しようがないのでありますね。ちなみに森内さんから発せられていたのは大当たり確定のレインボーオーラ。「これは北斗ぞろいで連チャン率88%は確実だな」とオイラは口元をにやりとさせた。

 

もともと棋士はいろんなゲームが好きだが、その中でもバックギャモンは人気の高いゲームである。ダイスの出目に左右され運の要素が強いにもかかわらず、ゲーム内容は戦略的かつ理論的であり、技術が伴わないとうまくプレーすることができない。故真部一男九段もバックギャモンで遊ぶのが好きだったそうだし、森雞二九段、櫛田陽一六段、片上大輔六段、北尾まどか女流二段らもバックギャモン大好き棋士だ。ちなみに櫛田六段と片上六段はバックギャモンで王位というタイトルを取ったこともあるほどの超強豪級の腕前。お隣の囲碁界では武宮正樹九段がバックギャモンにぞっこんである。森内さんもどうやらこのゲームに……くすくす。

 

その日、ゲストに呼んでいたのは中村慶行バックギャモン名人。中村さんは2010年に23歳でバックギャモンの名人となり(名人位の最年少記録)、2013年に再び名人に就いたプレーヤーである。森内さんは中村名人と5ポイントマッチを何試合か戦い、疑問が残ったプレーについて質問を繰り出していた。中村名人が見た森内さんのギャモンプレーは「考えることが好きで一手一手に慎重に時間を使われます。考えることを厭(いと)わないプレーヤーは確実に強くなりますから、森内さんも短期間に強くなると思います」ということであった。

 

新年に入って「5日に赤坂で行われるバックギャモンの例会に行きます」という連絡があった。赤坂例会は日本のトッププレーヤーが集まる会として知られている。この日は日本選手権2連覇中、日本のバックギャモン界を牽引(けんいん)してきた下平憲治さんや、「世界のモッチー」こと望月正行さんらが赤坂に顔を見せた。

 

下平さんは通称「しもへいさん」であり、真部一男九段とも交友の深かった人である。赤坂例会で4時間ほどゲームを楽しんだ後、下平さん、望月さんとともにイタリアンレストランで食事をしたのだが、そこでも森内さんの「スキスキオーラ」は食事なんかそっちのけで輝きを増し、「パスした場合マッチエクティが18%しかないからこれはテイクしたほうがいいということですか?」とか「ギャモン負けが関係無いスコアでの序盤のスロットの有効性は?」といった類いのギャモンの専門用語が飛び交う食事会であった。

 

オイラはふと想像してしまったことがある。それは「森内さんはバックギャモンの世界チャンピオンになるのかもしれないなぁ」ということである。竜王、名人に続くタイトルがバックギャモンの世界チャンピオンだったら痛快だ。

 

そしてその予感は的中するかもしれないのだ。なぜなら森内さんからは「スカさん、今年はモナコのギャモン大会に一緒に行きましょう」という誘いを早くも受けているからなのだ。

 

オイラは大散財を覚悟してモナコに行ってしまうのでしょうかね。なんだかやばい展開になってきているのだが、人生はたいていがグッドラックである。ここは気合いで行きますか!

 

■『NHK将棋講座』2014年4月号より

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