趣味

中村桃子女流初段が語る「兄妹棋士であること」


2014.03.10

イラスト:佐々木一澄

女流棋士としてデビューしてから6年半。仕事で方々へ行く機会も増え、楽しく刺激的な毎日を過ごしているという中村桃子(なかむら・ももこ)女流初段は、棋界では2組目の兄妹棋士として知られる。幼少時から兄・中村亮介(なかむら・りょうすけ)五段と共に将棋を習ってきたからこその、兄妹エピソードを披露していただいた。

 

*  *  *

 

将棋を覚えたのは私が小学校2年生、兄が小学校4年生のときでした。当時父が将棋にはまっており兄に教えたのがきっかけです。常に兄がしていることはやりたがった私。すぐに「お兄ちゃんだけ道場に連れて行ってずるい。私も行きたい」となりました。「桃はお母さんと買い物にでも行ってきな」と道場に連れて行ってもらえなかったときには大泣きしたのを今でもよく覚えています。

 

最初は車で15分程の近所の道場に通い始めました。席主の先生に六枚落ちから教えていただき、ある程度指せるようになってからはあちこちの道場に行きました。最初は父や母に送迎をしてもらっていましたが、兄が中学生に入ったころからは2人で行くようになりました。同年代の子たちと指すことも増え、本格的に将棋を始めることになりました。

 

家では兄とたくさん練習将棋を指しました。私が初段くらいのとき四段ほどだった兄。序盤から終盤まで毎日教わってばかりでした。大会が近付いてきたときなどには一緒に研究してもらえたので、自信を持って対局に臨むことができていたのかもしれません。たわいもないことでは兄妹喧嘩(けんか)になることもありましたが、将棋で喧嘩になったことはなかった気がします。

 

兄が棋士になれたときには、すごくうれしかったのと同時に私も絶対に女流棋士になる! と強く思ったのを覚えています。当時は女の子で将棋を指す子は少なかったので、兄妹一緒に将棋をできるというのが幼いながら心強かったのかもしれません。

 

そして、6年半前の秋に女流棋士となることができました。昇級がかかった例会日は私も緊張していましたが、支えてくれた両親、兄、周りの方々のほうがよっぽど緊張していたのではないかと今になって思います。

 

女流棋士になってからは、練習将棋を指すこともほとんどなくなってしまいましたが、今でもよき相談相手であることは変わりません。兄妹一緒に頑張ってきたこと、同じ世界に入れたことをうれしく思っています。

 

皆が新しい目標に向かって一歩踏み出すこの季節ですが、私もしっかりと目標を定めて、対局に、普及活動にと頑張っていきます。これからも応援よろしくお願いします。

 

■『NHK将棋講座』2014年3月号より

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