教養

「句のひとみ」のみなもと、「目」や「耳」を詠む


2021.06.20

俳人の鴇田智哉(ときた・ともや)さんが講師を務める講座「『句のひとみ』になって読む」。「句のひとみ」とは、俳句を読むときに読者が得る視野のこと。見たり、聞いたりしたことが句作のきっかけとなるものですが、今月は「句のひとみ」のみなもととなる「目」や「耳」を詠んだ句を紹介します。

 

*  *  *

 

前回までは、「句のひとみ」の話、そして、「句のひとみ」は視覚に特化されるものではないという話をしました。今回は視点を変えて、「句のひとみ」そのものの話ではなく、「句のひとみ」をそもそも成り立たせている「目」や「耳」について考えてみます。

 

 

右の眼に大河左の眼に騎兵

西東三鬼(さいとう・さんき)

 

広々とひらける全景を、右・左の分割画面で見ているかのような画像が思い浮かびます。実際には、右目と左目で別の風景が見えるということはありませんが、言葉でこのように表現されることで、パノラマ写真を見ているかのような効果が生じます。

 

暗闇(くらやみ)の眼玉濡(ぬ)らさず泳ぐなり

鈴木六林男(すずき・むりお)

 

眼玉、はものを見るためにあります。暗闇の中で前を見るためには、眼玉を濡らさずに泳ぐという、主体の強い意志が表れています。目で見る、ということの過酷さを感じさせます。

 

目の玉を押すと蚊帳吊草(かやつりぐさ)が立つ

鴇田智哉

 

目は「物」でもあります。まぶたを指で軽く押すと、風景の傾きが変わる、という経験があるでしょう。

 

※「耳」を詠んだ俳句はテキストでお楽しみください。

 

■『NHK俳句』2021年6月号より

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