教養

アレクサンドル・デュマは「プロダクション」制度の元祖だった


2013.03.04

19世紀のフランスで『三銃士』『モンテ・クリスト伯』などヒット作を次々と生み出した作家アレクサンドル・デュマは、それまでの作家とは一線を画した文章テクニックや物語の構成で知られる。作家の佐藤賢一(さとう・けんいち)さんによると、小説の制作方法という点でも、デュマは他の作家とは大きく異なっているという。

 

*  *  *

 

作家というものは、1人でストーリーを考えながら、孤独にペンを走らせて作品を書いていくのが一般的です。しかし、デュマの場合は、下書きや資料集めを担当するアシスタントをたくさん雇い入れて、今で言うプロダクション(制作会社)のような組織を作り、作品を量産していたのです。

 

現在、漫画やアニメの制作現場では、先生と呼ばれる作家がキャラクターやストーリーを考えて、背景などの細かい部分はアシスタントに任せるというシステムが当たり前になっていますが、こうしたスタイルをデュマは初めて小説の現場に持ち込んだのです。

 

なにしろ希代の売れっ子作家となっていたデュマのもとには、仕事が殺到していました。次から次へと原稿依頼が舞い込むので、とても1人ではこなしきれない仕事量だったようです。『三銃士』の後は『モンテ・クリスト伯』、そのすぐ後に『王妃マルゴ』の連載をスタート。さらに『赤い館の騎士』『モンソローの奥方』『四十五人隊』と、数年の間に、新聞連載小説を立て続けに発表しています。

 

「1日12時間から14時間は仕事をする習慣が身に付いている」と自ら語ったデュマでしたが、クオリティを落とさずに作品を量産するためには、それだけでは追いつかず、どうしてもアシスタントや協力者の助けを借りる必要があったのです。

 

■『NHK 100分de名著』2013年2月号より

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