料理

こしょうは立派な調味料


2013.09.17

トルコのスパイスバザールにて。色とりどりのスパイスの山が並ぶなか、最も目立つ特等席はこしょう。写真提供:山本謙治

インド熱帯地方を原産とするこしょう。辛み成分であるピペリンは防腐作用をもつので、大航海時代には列強各国がこしょうを求めて船を世界中に差し向けた。金と同じくらい価値があった時代もあるといわれるこしょうについて一家言あるのは、農産物流通コンサルタントの山本謙治(やまもと・けんじ)さんだ。

 

*    *   *

 

肉や魚の下ごしらえをするときによく「塩・こしょうを少々」という定番の言い方がある。僕はこれがあまり好きではない。というのは、下味をつける際に欠かせないセットとして、何も考えずに使われているからだ。こしょうは、それ単体でとても個性的な調味料でありスパイスである。うそだと思うなら、豚肉の薄切りを買って二つに分け、片方は塩だけ、片方は塩とこしょうをふってしばらくおき、焼いて食べ比べてみてほしい。きっとこしょうの強い香りと味わいに驚くだろう。素材にいやなにおいがあるときには、こしょうはそのにおいを取り除く役割を果たしてくれる。逆に繊細な味の素材のときは、こしょうの香りが強くなりすぎて味わいを損ねるかもしれない。つまりこしょうを用いる際には必ず「こしょうを味つけに使うんだ」と意識しながら使わなければいけない、そんな調味料なのだ。

 

こしょうは香り成分がたっぷり含まれているから、新しいものを使うほうがいい。わが家では粉になったこしょうは買わずに、ホールのこしょうを買ってペッパーミルでひいて使う。このほうが驚くほどに味がよい!

 

ぜひ、いつもの使い方ではなく、独立した調味料としてのこしょうの使い方を志していただきたい。

 

■  『NHKきょうの料理』2013年9月号より

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