アメリカ南部の伝統的な朝食 マヨネーズビスケット


マヨネーズを卵と油脂のかわりにしたビスケットは、アメリカ南部の朝食の定番。鉄製のスキレットなどを使って周りはパリッ、中はしっとりふんわりと焼き上げます。菓子文化研究家の原亜樹子(はら・あきこ)さんがその来歴と特色を紹介します。
* * *
合理的な発想から生まれたビスケット
アメリカのビスケットは、ふっくらとした無発酵ブレッド=クイックブレッドで、おやつではなく朝食に食べるものです。その昔、入植者が携帯した船旅用のビスケットや堅パンが始まりといわれ、アメリカ各地で食べられていますが、特にアメリカ南部の朝食には欠かせません。焼きたてのアツアツに、生ソーセージを炒めた油とミルクでつくるグレイビーを添えたり、フライドチキンをはさむのが定番。シンプルにバター& ジャムでもおいしいです。
ビスケットには、クリームからバターを取り出したあとに残る液体・バターミルクを使う「バターミルクビスケット」、ベーキングパウダー、重曹、イーストを入れることで天使の羽のような軽やかな食感に仕上げる「エンジェルビスケット」など、たくさんの種類があります。なかでも手軽なのは、今回ご紹介する「マヨネーズビスケット」。アメリカの食は、合理的で豊かな発想から生まれます。卵やビネガー、オイルからつくる「マヨネーズ」は、アメリカでは焼き菓子をつくる際に、卵や油脂がわりのお手軽材料としてよく使われてきました。材料も少なく、手順も簡単でビギナーにも上手にできると思います。
※つくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理ビギナーズ』2021年3月号より