昆布水で癒しのスープ


「スープはすべての料理の基本」と語る料理研究家、白崎裕子(しらさき・ひろこ)さんのスープのベースは昆布水。植物性の素材だけとは思えないほど、濃厚なうまみと深い味わいに感動します。
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昆布に対して水は少なめ。水で3~4倍に希釈して使います
白崎さんがつくるスープの材料は、植物性食品がメインで、時々魚介。肉・卵・乳製品は一切使わないのに、しっかりとした満足のいく味わいに、初めて食べた人は驚きます。そのおいしさを支えるのが、昆布水。昆布を一晩水につけるだけですが、昆布に対して水は少なめなので、濃厚なうまみが抽出できるのです。一般的に紹介されている昆布水は、たっぷりの水に少量の昆布をつけて希釈せずに使うものが主流。最初は「昆布を一度にこんなに使うの?」とびっくりするかもしれません。しかし心配することなかれ。スープにするときは水で3~4倍に希釈して使い、昆布水がなくなったら3回まで新しく水を足して使えます。
「私の昆布水はそのまま飲むとあっさりしていますが、ほかの食材と合わせたとたん、驚くほど深いうまみとコクが出るんですよ」という白崎さん。和・洋・中あらゆるスープのベースはもちろん、煮物や煮込みなどのだしとして昆布水を使います。
「濃いうまみがとれる分、ぬめりや昆布くささの原因となる成分も出ます。たっぷりの新しい水を加えて煮立たせると、アクと一緒にその成分も浮き上がってきますので、しっかり取り除いてください。昆布のくせがなくなり、甘みとうまみが際立った、すっきりとおいしいだしに仕上がります」
※昆布水のつくり方、活用レシピはテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理ビギナーズ』2021年1月号より