ごまあえで感じる冬の野菜のおいしさ


連載「割合でつくる だしいらずの和食」では、京都の老舗料亭の3代目、村田吉弘(むらた・よしひろ)さんが「だし」のかわりにうまみたっぷりの食材を使った料理を紹介しています。1月号では、冬の野菜をごまであえておいしくいただくコツを教えてくれました。
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今月は、ごまあえとごま酢あえをご紹介します。
ごまは、栄養価の高い食材として知られています。成分の約半分が脂質、つまり油ですが、体にいいと言われている不飽和脂肪酸であるリノール酸とオレイン酸を多く含んでいます。またビタミンEや食物繊維も豊富です。
とまあ、ええことずくめなのですが、ひとつだけ、気をつけていただきたいことがあります。それは粒のまま使っても、堅い外皮のせいでほとんど消化されず、栄養成分が吸収されないということ。ごまをいってパラパラとふっても、体によい効果はほぼ期待できないのです。
ただし料理において、食感や香りも大事な要素です。いりたてのごまの香ばしさも、食欲をそそる大事な要素だと思ってくれたらうれしいです。
ごまあえに使うごまは、半ずりにして少し食感を残すのもええですが、冬場はネットリとしたごまの濃厚さを味わえるよう、しっかりとするか、市販の練りごまを使うのがおすすめです。
一品目は変化球、炒めたごまあえです。最近よく見かけるようになった市販のサラダチキンを使います。中国料理のバンバンジーもそうですが、淡泊な鶏肉に練りごまは相性のよい組み合わせ。アクが少なく下ゆでの必要がない小松菜を合わせた、温サラダ感覚の一品です。
二品目は、干し柿の自然な甘みを生かした和食ならではのレシピ。なますで組み合わせる大根とにんじんも、寒くなって甘みを増しています。この甘みの要素を単にごまあえにしてしまうと味がややぼけるので、酢を使ったごま酢あえにしています。ごま酢はいわば、和のごまドレッシング。その油分が体によいごま由来なのが、ええですよね。
※つくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理』2021年1月号より