秋の郷土料理大集合! 地域伝統の味を楽しもう


秋、豊かな収穫の季節。その土地ごとの食材でつくられ、親しまれてきた郷土料理には、昔ながらの智恵と工夫が詰まっています。『きょうの料理』11月号では、日本列島を北から南へ縦断し、秋の恵みたっぷりの郷土料理をご紹介しています。
まず、郷土料理とはどのようなものを言うのでしょうか。農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」によると、「それぞれの地域独特の自然風土・食材・食習慣・歴史文化等を背景として、地域の人々の暮らしの中での創意工夫により必然的に生まれたものであり、家族への愛情や地域への誇りを持ちながら作り続けられ、かつ地域の伝統として受け継がれてきた調理・加工方法による料理」を指すのだそう。
その土地でとれる季節ごとの食材を使い、風土に適した調理法でつくられ、親しまれてきた郷土料理は、私たちの食生活とも密接に結びついています。皆さんの近くには、どんな郷土料理がありますか? 料理研究家の浜崎典子(はまさき・のりこ)さんが、その土地に伝わる郷土料理をつくりました。
北海道 イクラのしょうゆ漬け
秋、生まれた川に戻ってくる、豊かな海の幸、さけ。北海道では「あきあじ」と呼ばれ、さまざまな料理に余すところなく使われます。新鮮な魚卵を調味料に漬けた「イクラのしょうゆ漬け」は、手づくりする家庭も多く気のきいた酒肴(しゅこう)として、ご飯のお供としても喜ばれる一品です。
山梨県 ほうとう
「ほうとう」は、小麦粉を練った太い麺と野菜を、みそで煮込んだ料理です。山梨県の山間部では米が貴重だったので、これを日常的に食べていたそう。具材はかぼちゃが代表的ですが、きのこ、白菜など、好みの季節野菜を入れてください。生の麺を一緒に煮れば、トロリとおいしく、体もポカポカ温まります。
愛媛県 たい飯
春の「さくらだい」と並び、「もみじだい」と呼ばれる秋のたいは、味のよさで知られます。そのうまみを余すところなく楽しめるのが、塩焼を丸ごと米と一緒に炊き上げる愛媛名物・たい飯。
ちなみに、愛媛県でも宇和島などの南予地方では、刺身をご飯にのせ、生卵やしょうゆだれで食べるたい飯が有名です。
※テキストでは、上記の3品を含むさまざまな地域の郷土料理のレシピを掲載しています。
■『NHKきょうの料理』2014年11月号より