「理系」と「文系」の大きな溝 埋めるために必要なのは「池上彰」?


2014.12.09

人間のタイプはいろいろ分けられますが、「文系」「理系」という分け方もその一つ。それぞれが尊重しあい、適材適所で活躍することによって社会は成り立っています。けれど、時にお互いの言っていることが“よくわからない”という事態になってしまうことも。
 
わかりやすいニュース解説でおなじみに池上彰さんは、2011年3月に起きた東日本大震災の一連の報道をみて、文系と理系の溝を痛感したと、自著である『おとなの教養』の中で書いています。
 
震災後、人々は大きな不安からテレビをつけ、専門家たちの話を聞きました。けれど、あまりに専門的な話で、何がなんだかわからない。東京電力などの記者会見を聞いても、ますます混迷が深まり、不安が募ったことを覚えている人も多いはず。キャスターも専門知識がないため、うっかりコメントできず、そのまま番組が進行。池上さんは、「原発事故をテレビで見て、専門家の話を聞いたことによって、かえって不安が増幅してしまうことが起きた」と指摘しています。
 
そして、「日本というのは、文科系と理科系がはっきり分かれてしまっている」ということに気づいたと池上さん。理系の専門家たちは、テレビを見ている文系の人たちが、何がわからないかということが、わからない。また、文系の人たちも「確率何%」と出てきただけで、思考停止になってしまう。この溝の深さが、さまざまな日本社会の問題や不幸の根に存在しているのではないだろうかと考えたそうです。
 
溝を埋めるために何が必要か。池上さんの答えは、「教養」を身につけること。2012年から東京工業大学でリベラルアーツセンター教授としても活躍している池上氏。教養を教えることを実践しているわけですが、時にはマイケル・サンデル教授のように、学生同士の議論を戦わせる“白熱教室”的手法も取り入れているそうです。
 
学生時代の不勉強を反省し、池上さんに一般教養を習いたかった……と思った人は、ぜひ本書を。読みやすい新書1冊の中に、ギュッと教養のエッセンスが凝縮しています。
 
■『おとなの教養―私たちはどこから来て、どこへ行くのか?』(NHK出版新書)

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おとなの教養―私たちはどこから来て、どこへ行くのか?(NHK出版新書)

2014年4月11日 発売

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