暮らし

播州織の可能性を探る若きデザイナー夫婦


2019.12.04

ふたりの結婚式も播州織で彩られ、着用したドレスとエプロンの生地は、竹林のある自宅の庭をイメージしたデザイン。もの作りの仲間と作り上げた。生地には、竹の繊維が織り込まれている。撮影:大西二士男

村田裕樹さんと小野圭耶さんは、播州織の故郷、兵庫県西脇(にしわき)市に暮らし、新しい播州織の魅力作りに取り組むデザイナー夫婦。もっと自由に! もっと楽しく! 日々の暮らしに播州織を取り入れながら、産地の未来を見つめます。

 

*  *  *

 

夢を叶えてはじまった産地でのもの作り

 

気持ちよく風にそよぐ、軽やかで色鮮やかなストール。とろみのある生地が美しいシルエットを生むワンピース。若き作り手による播州織の新しいもの作りが今、暮らしにこだわる若者から注目を集めています。村田裕樹さんと小野圭耶さんも、播州織の次世代を担う服と生地のデザイナー。それぞれに、播州織の新たな魅力作りに励んでいます。

 

二人が暮らすのは、播州織の産地、兵庫県西脇市。市街地から少し離れた自然豊かな高台に、竹林と綿花畑に囲まれて建つ古民家です。家の中にも外にも播州織。産地のデザイナー夫婦らしく、布に囲まれた暮らしが日常のようです。

 

夫の村田さんは東京出身。大学在学中に独学で服作りをはじめ、素材への関心から全国の布の産地を巡るようになりました。各地の工場を訪れるうちに、「伝統的な技術を学び、それをいかすデザインができたら、新しい商品が作れるのではないか」と、産地でのデザイナーを目指すように。卒業後、各地へアプローチをはじめ、運命的に出会ったのが、現在勤務する播州織の製造卸会社。新ブランドのデザイナーとして迎えられました。そこで、テキスタイルデザイナーとして働いていたのが小野さんです。

 

播州織の新たな魅力を探す熱きデザイナーの誕生

 

小野さんは西脇で生まれ、縫製工場を営む祖父母の側で、たくさんの布に触れながら育ちました。高校卒業後、大阪で服飾を学んだのちUターン。村田さんが入る前の会社で働きはじめます。「現実は私が求めるもの作りと違っていました。播州織は量産で発展してきた織物ですから、オーダーに応えることが一番の仕事。会社に入ってはじめて、オリジナルデザインを手がけていないことを知り、自分たちの布を作りたいと強く思いました」と小野さんは振り返ります。

 

そして、播州織の可能性を追求しようと同世代の職人たちと勉強会を開くなど、積極的に活動をはじめます。のちに同志となる村田さんも共感し、彼女と一緒に次世代のコミュニティーを広げています。

 

「播州織には、高品質な量産品を作る確かな技術がある。でも、いい布に必要なのはそれだけではない。その技術があるからこそ生まれる、新しい発想のデザインを、職人さんとともに作っていきたい」と、思いを馳せる二人。現在小野さんは会社を移り、二人の職場は離れましたが、日々の暮らしの中で播州織と向き合い、誰もが認めるいい布を目指しています。

 

■『NHK趣味どきっ!暮らしにいかす にっぽんの布』より

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