スタイリング前に知っておきたい 髪のこと、頭皮のこと


プロのスタイリングがなぜ美しいのか。その理由は、髪の構造や性質を知り、髪の特性に合わせて効果的な方法を実践しているから。髪と頭皮の知識は、つややかな髪を保ち、スタイリング上手になる基本です。美容師でヘアサロンの代表を務める野沢道生(のざわ・みちお)さんに頭皮と毛髪の基本を教えてもらいました。
* * *
美しい髪は健康な頭皮によって育まれる
髪の細胞は、爪と同様、角化した皮膚細胞が頭皮から現れたもの。生きているのは毛根の深い部分だけで、私たちが目にしている毛髪部分(毛幹部)はすでに死んでいます。死んだ細胞をいくらケアしても、そこには限界が。ハリ・ツヤのある豊かな髪をつくるためには、毛根部を支える頭皮を健康に保つことが不可欠です。
髪と頭皮の構造は、上のイラストのようになっています。髪の根元は球のようにふくらんだ「毛球部」。そこに、髪を生み出す毛母細胞や毛乳頭が存在します。頭皮にはたくさんの毛細血管が張り巡らされ、毛母細胞に酸素や栄養を送り込みます。これにより、細胞分裂が起こり、髪が成長するのです。髪を黒くする色素細胞も、毛球部に存在し、メラニン色素をつくって髪に送り込みます。
しかし、ストレスや加齢、手入れ不足などによって頭皮環境は悪化。毛穴が詰まったり、硬くなって血流が悪くなったりすると栄養を届けることができなくなります。頭皮は髪を育てる重要な「土壌」。血行のいい健康な頭皮は、ハリ・ツヤのある黒髪をつくるベースです。
■『NHKまる得マガジン 思いどおりの髪形に! 悩み解決 スタイリング術』より