趣味

井山棋聖が語る「ネット碁の面白さ」


2013.08.24

「ネット碁世代の棋士」と言われる井山裕太棋聖。その理由として井山棋聖は「師匠である石井邦生九段にインターネットで数多く対局していただいたためでしょう」と語る。

 

「石井先生に入門したころの私はまだ小さかったために先生の家に通えませんでした。そこでネット碁で先生に数多く対局していただくことで、力をつけることができました」

 

同じ碁とはいえ、リアルとネットで違いもあるようだ。井山棋聖が「秒読み」と「レーティング」を例にネット碁の面白さを語った。

 

*  *  *

 

ネット碁では秒読みの種類も多様です。アマの大会では時間切れ負けがほとんどですし、そもそも普通の碁会所では対局時計を使うこともまれです。しかし、ネット碁はパソコンが管理してくれますから、いろいろな秒読みを楽しむことができます。いちばん多いのは「何分何秒何回」というものです。例えば20分20秒5回にすると、持ち時間が最初に20分あり、使い切ると1手20秒の秒読みとなります。これは20秒の秒読みを4回まではオーバーしてもいいですよ、ということです。20秒の秒読みを4回オーバーして、5回目の「20秒」のカウントまでに着手できなければ時間切れ負けとなります。

 

次に「NHK杯方式」と言われている秒読みがあります。これは初手から秒読みで着手しますが、秒読みをオーバーしたら、定められた考慮時間を消費して考えることができます。NHK杯は「1手30秒、考慮時間は1分が10回」というルールですが、多少内容を変えて「1手20秒、考慮時間は1分が3回」という設定でもNHK杯方式と言うことが多いようです。やはりNHK杯の影響は大きいですね。

 

そしてもう一つ「カナダ式秒読み」というシステムがあります。これは世界アマチュア囲碁選手権戦などで採用されていますが、「25手10分」というような秒読みです。平均すると1手30秒もないのですが、極端なことを言えば、そのうちの24手を1秒で打ち、残りの1手に9分30秒使ってもいいのです。

 

ネット碁にも「段級位」はありますが、それよりも「レーティング」をつけていることが多いようです。それぞれの対局サイトによって違いはありますが、レーティングによって対局のハンデが決まります。勝てば上がり、負けると下がるのはもちろんですが、コンピューターが計算してくれますから、強い相手に勝ったり、連勝が続いたりするとたくさん上がります。レーティングのおかげで、常に適正なハンデで対局できるのです。

 

もちろん、ネット碁よりも実際に碁盤を挟んで打つ方がいいところもあります。特に大きな違いは局後のコミュニケーションです。ネット碁でもチャット(ネット上で会話)による検討はできるのですが、実際にはやらない人がほとんどですし、直接盤を挟んで向かい合っていれば、自分の示した手に対する相手の反応などが見える楽しさがあります。

 

ただ、私は石井先生に教わっていたころ、ネットの方が自由に打てていました。先生が目の前に座っていると、どうしても「褒められる手を打とう」とか「まずい手は打てないな」などと萎縮してしまいますが、私はネット碁で教わったおかげで、ノビノビと好きな手を打つことができました。そのことが今の自分に影響を及ぼしているかどうかは分かりませんが、確かに私は「ネット世代の棋士」ですね。

 

■『NHK 囲碁講座』2013年8月号より

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