趣味

イメージする力がつなぐ「サッカーと将棋」


2013.06.03

波戸康広さん(右)と野月浩貴七段(左)
撮影:小松史郎

将棋に興味を持つ異分野の著名人と、その分野に造詣の深いプロ棋士の対談をお送りする「異業種対談 棋士が聞きたい」が「NHKテレビテキスト 将棋講座」でスタートした。

 

第1回は、昨年、アマ初段の免状を授与された波戸康広さん(元サッカー日本代表)と、熱烈なサッカーファンで知られる野月浩貴七段が登場。波戸さんが将棋を始めたきっかけや、サッカー好きの棋士の話題で話に花が咲いた。

 

*  *  *

 

野月 波戸さんは、日本将棋連盟からアマチュア初段の免状を授与されていますが、将棋を始めたきっかけは何だったんですか?

 

波戸 小学2年生くらいのときですかね。僕は淡路島の出身なんですけど、土地柄なのか時代なのか、その店に行ったらなんにも言わずに全員スポーツ刈り(笑)みたいな床屋さんに通ってて。お店の方がけっこう将棋の強い方で教えてくれたんですよ。

 

野月 じゃあ髪を切り終わったら「一局指そう」みたいな感じですか。

 

波戸 まさにそんな感じです。それで将棋ってすごく面白いなと思うようになってみたら、実は父親がかなり熱心な将棋ファンと言うか谷川浩司九段のファンで。だから毎日のように将棋も指しましたし、谷川さんの伝説は何度も聞かされました。負けて悔しくて駒を噛かんだ話とか、史上最年少名人の話とか。

 

野月 そんな話を聞いて育ったサッカー選手は珍しいでしょうね(笑)。サッカーとはどんな出会いだったのですか?

 

波戸 サッカーを始めたのはみんながやっているから、というのがきっかけでしたね。クラスのみんなで遊ぶというとサッカーしかなくて。最初は「サッカーかあ」と思いながらやっていたくらいの感じなんですけど、僕は負けずぎらいな性格なので、友達が「おれリフティング3回できたぜ」って言ってきたら、「いやおれは4回やった」って言い返したりして。やってないのに(笑)。そんなことをしているうちに、だんだんとサッカーの魅力に気づいていったという感じです。野月さん以外にもサッカー好きのプロ棋士の方はいらっしゃるんですか?

 

野月 いっぱいいますよ。上の世代だと河口さん(俊彦七段)なんかはもうサッカーオタクですし、日浦さん(市郎八段)も詳しい。先崎さん(学八段)はマラドーナ世代。

 

波戸 あ、僕もプロになりたいなと思ったのはマラドーナにあこがれたからなんですよ。

 

野月 近い世代では深浦さん(康市九段)、久保くん(利明九段)、ナメちゃん(行方尚史八段)。若手だと渡辺(明)竜王も詳しいし、広瀬(章人七段)、(佐藤)天彦(七段)、西尾(明六段)とか、挙げていったらきりがないです。サッカーと将棋には共通点が多いからという理由もあるんでしょうね。

 

波戸 僕も共通点を感じることはけっこうありますね。将棋連盟の携帯中継とかNHK杯戦とかを見てて思うのは、序盤から中盤にかけてがおもしろいんですよ。ここからどんなふうに攻めていくのかな、僕ならこう指すけど全然違うことやってるな、とか思いながら。

 

野月 それは玄人好みですね。

 

波戸 そうなんですか?

 

野月 アマチュアの方はやっぱり戦いが起こって激しくなってからのほうがおもしろいし分かりやすいという意見が多いですよ。

 

波戸 サッカーでも、ゴールシーンだけ見てワーッとなることが多いですけど、実はそこに行くまでに必ず何かあるんですよね。2〜3個細かいミスが積み重なって失点してるとか、何か華麗なプレーが続いて得点してるのか。何か必ず原因があって得点・失点というものが存在する。素人ながら将棋も同じじゃないかなと思うんですよ。序盤のなにげないつくりから、駒がぶつかって、この局面でどっちが有利なのかなとか、分からないなりに考えるのが好きですね。

 

野月 プロの研究はそれがすべてですから。駒がぶつかる前の駒組みと構想力と、開戦の瞬間のイメージ作りというのに、ふだんの研究ではもっとも力を入れているんです。

 

波戸 開戦の瞬間のイメージ作りですか。研究ってそういうものなんですね。

 

※  「異業種対談 棋士が聞きたい」は不定期連載です。

 

■『NHK将棋講座2013年5月号』より

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