趣味

初参加にして本戦初出場! 出口若武四段、NHK杯デビュー


2020.07.27

左/松尾 歩八段、右/出口若武四段 撮影:河井邦彦

深浦康市NHK杯の優勝で幕を閉じた第69回。早くも区切りとなる第70 回が始まっています。1回戦第4局は松尾歩(まつお・あゆむ)八段と、初出場となる出口若武(でぐち・わかむ)四段の対局となりました。後藤元気さんの観戦記から、序盤の展開を紹介します。

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*  *  *

 

初出場

 

「安定感抜群の松尾八段と、才気煥発タイプで爆発力のある出口四段の対戦です」

 

解説を務めた稲葉陽八段は本局をこう紹介した。さらに「出口四段は安定というより、ちょっと抜けているところがある。勝負の行方は彼のデキ次第ですね」と語ったのは、出口が井上慶太九段門下の弟弟子だからだ。

 

出口はこの対局の放送日のすぐあと、4月28日に25歳を迎えた。棋士になってからのこの1年は、さまざまな初めてを経験したことだろう。

 

NHK杯戦初参加にして本戦初出場。渋谷の放送センターに来るのも、もちろん対局前インタビューもこの日が初めてだ。

 

堂々と背筋を伸ばしてカメラの前に立ったまではよかったが、そこで急に活動停止。撮り直すことになり、「話そうと思ったことが飛んじゃいました」と人懐っこい笑顔で首をすくめる。周囲にも笑顔が広がっていく様子は、おそらく持って生まれたものであろう華を感じさせた。

 

振り駒は松尾の振り歩先で歩が3枚。最近よく指されている「居飛車カメレオン」とでも言うべき戦型になった。

 

カメレオン

 

▲7六歩△8四歩▲6八銀の出だしは「矢倉」である。

 

そこから先手が飛車先を突いていき、後手がそれを受けずに△7四歩~△8五歩と張り合って攻めの形を作っていく。

 

△7三銀(1図)まで進んだ局面を見ると、これはもう矢倉よりも「相掛かり」に近い。

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1図が初めて公式戦に出たのは3年前の4月。第75期名人戦第2局の▲稲葉八段―△佐藤天彦名人(肩書は当時)だった。

 

稲葉八段は▲3四飛と果敢に歩を取り、カメレオン3つ目の変化「横歩取り」に進んだ。この変化は「へんか」ではなく、「へんげ」というニュアンスだ。

 

ちなみにそのあと角交換をする展開になり、「角換わり」に変化した将棋もあった。

 

面白いのは、どう変化してもそこまでにたどった戦型の性格を内包していくこと。矢倉の感覚を残しながら相掛かりを指し、いつでも横歩取りや角換わりに対応できるよう柔軟な思考を保たねばならない。まさに新時代、令和の将棋というべきだろう。

 

本局は先手が飛車を引き上げ、相掛かり色の濃い戦いになった。

 

「2図の局面になったら△4四角かなと予想していました。△4二銀は比較的穏やかな手なので、先手が主導権を握りやすいというイメージを持っていました」と松尾は振り返る。

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その後は稲葉八段が「お互いにどうやって角を使うか」と話したように、その点を念頭に置いて駒組みが進められた。

 

その答えが3図からの松尾の▲6八銀であり、出口の△1四歩(4図)である。

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※投了までの棋譜と観戦記はテキストに掲載しています。

※肩書はテキスト掲載当時のものです。

 

■『NHK 将棋講座』2020年6月号より

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