趣味

虚子も詠んだ「スイーツ俳句」


2013.05.21

「わび・さび・渋いという世間一般の俳句のイメージと、女子がきゃぴきゃぴと喜ぶスイーツとは、全くかけ離れているように思えるかもしれませんが、実は俳句の季語にはお菓子関係のものがたくさんあるのです」と語る俳人の神野紗希(こうの・さき)さんに、「スイーツ俳句」を紹介してもらった。

 

*  *  *

 

春なら桜餅・草餅・蕨(わらび)餅、夏なら柏餅・かき氷・アイスクリーム・心太(ところてん)、秋は月見団子、冬は焼藷(やきいも)や鯛焼・クリスマスケーキなどなど。わあ、言葉を目にしただけで美味しそう。

 

さて突然ですが、あなたは桜餅をくるんでいる塩漬けの葉を食べる派ですか、それとも残す派ですか?

 

三つ食へば葉三片や桜餅

高浜虚子(たかはま・きょし)

 

桜餅を三つ食べると葉が三枚残るというのです。虚子は桜餅の葉を残す派だったんですね。「だから何なんだ!」と突っ込みたくなる内容ですが、俳句という詩型はこんな些細な発見でも喜んでくれます。三つも食べたことに軽く呆(あき)れつつも満足している作者の心持が、春の平和な気分を漂わせます。

 

草餅に鶯(うぐいす)餅の粉がつく

岸本尚毅(きしもと・なおき)

 

草餅をつまみあげると、その緑の肌に隣の鶯餅の黄粉がついていました。あざやかな色彩がいかにも春らしいですね。

 

姿勢よく蜜豆を待つ老夫婦

川崎展宏(かわさき・てんこう)

 

菓子舗で見かけた、注文した蜜豆を待つ老夫婦。居住まいを正している姿に品の良さを感じます。しかし、その身に付いた行儀ゆえ、暑い夏でも姿勢を崩せないところに、一抹の悲しみを読み取ることもできるでしょうか。

 

水着被(き)てフルーツパッフェ底から食う

浜芳女(はま・よしじょ)

 

「水着」は夏の季語。長い匙(さじ)を使って豪華なパフェを底からえぐる贅沢な行為に、あふれる若さが象徴されています。

 

■『NHK俳句』2013年4月号より

 

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