趣味

「将棋界をより良い世界にするために」将棋連盟会長、佐藤康光九段の覚悟


2020.03.14

写真:河井邦彦

平成の将棋界はどのように動いてきたのか。平成の将棋界をどうやって戦ってきたのか。勝負の記憶は棋士の数だけ刻み込まれてきた。連載「平成の勝負師たち」、2020年1月号には佐藤康光(さとう・やすみつ)九段が登場する。

 

*  *  *

 

棋士は個性が強い

 

2017年2月、トッププレイヤーの佐藤康光が日本将棋連盟の会長に就いた。その背景には「将棋ソフト不正使用疑惑騒動」が絡んでいた。

 

 

「いずれは運営をと考えていた。ただ、40代とは思っていなかった。当時、私は棋士会の役員をしておりましたが、棋士の意見をまとめること等、何もできずに責任を感じていました」

 

将棋界を揺るがす大騒動。矢面に立つ覚悟はできていたのだろうか?

 

「少しずつ前に進められればと考えていた。ただ実際に私が会長に就任したときは、当時の役員の皆さまが解決に向けての課題、問題をほとんど進められておられ、私はそれにのっとり手順を踏んでいくという感じでした」

 

会長になって生活は一変したという。平日はほぼ毎日、将棋連盟に顔を出す。役員、職員らを中心に話をし、さまざまな報告を受ける。指示も出す。週に1回は役員会議。ストレートに「理事会のメンバーとは仲がいいのですか?」と質問してみた。佐藤は「仲はいい」という。

 

そしてこう続ける。「ただ皆、棋士という部分もあり、個性の強さはある」。意見が合わないことも少なくない。それを週1回の役員会でまとめていく。もちろん最終決定権は会長の佐藤にあるが、「できるだけ忌憚(きたん)なく話し合って、すりあわせて前に進めていく」と語る。内輪ともいえる理事会でも意見がぶつかるのだから、棋士全体をまとめる難しさは容易に想像がつく。

 

 

「棋士はふだん純粋に盤上で戦い、勝負を争っているため不公平と感じることに敏感です。役員に任せるという人が多いですが、棋士への定例報告会以外でも面と向かって意見を言われる機会もあります。解決が難しいこともありますが、関心を持たれているのはありがたいです」

 

文句を言ってくる棋士が先輩だったらどうするのか。佐藤は「敬意を持って接する」と答える。「今までさまざまな困難があった中で将棋連盟を築いてこられたわけですから。そういう感謝の気持ちを忘れてはいけない」。一方で奥ゆかしく苦労をひけらかさない先輩も、また多いのだという。「知らない、わからないことも多いですが、将棋界をより良い世界にするための意思は引き継がなければという気持ちです」

 

文:上地隆蔵

 

※肩書はテキスト掲載当時のものです。

※続きはテキストでお楽しみください。

 

■『NHK将棋講座』連載「平成の勝負師たち」2020年1月号より

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