趣味

芝野虎丸名人誕生を予言していた? 名人戦の不思議な巡り合わせ


2020.02.15

観戦記者だからこそ目にすることができる棋士の姿があります。対局場の内外での様々な出来事を綴る「観戦記者の独り言」。今月は芝野虎丸名人の誕生を予感していたという松浦孝仁さんが、名人戦にまつわる不思議な巡り合わせについて綴ります。

 

* * *

 

虎丸名人が誕生した。19歳。誰もが驚く快挙だ。自慢になって申し訳ない。第2局の台湾対局で観戦記を担当した私は、この結果を予感していた。今さら言っても信じてもらえないだろうが。

 

碁石は地元の海峰棋院から提供された。碁笥をしまう箱には「昭和四十年十月十七日 名人 林海峯」との署名があった。当てはまるのは、旧名人戦の第四期。坂田栄男名人に林八段が挑戦したシリーズだ。この時の一番の話題は林挑戦者の年齢。23歳だった。下馬評は名人圧倒的有利。「20代の名人などありえないよ」と、第1局をものにした坂田は豪語したとか。しかし結果は4勝2敗で挑戦者がタイトルを獲得した。

 

昭和の時代に最年少記録を打ち立てた棋士と接点を持った碁石が、令和元年に記録更新なるかという節目で再び姿を現した。なんという縁か。芝野虎丸が19歳で名人に就いたのは運命に思えてくる。

 

話はここで終わらない。予言めいたものはもう一つある。碁盤も海峰棋院からの提供。ちなみに、「海峰」は林海峰名誉天元の名前からとられた。院長は子息の敏浩さんが務めている。

 

碁盤の裏書は「羽衣 本因坊秀格」。高川格九段(22世本因坊秀格)の署名だ。高川といえば本因坊9連覇が代名詞だが、もう一つあるのをご存知か。「不死鳥」だ。53歳の時に26歳の林名人に挑戦、奪取し、そう名付けられた。張栩前名人はいま39 歳。老け込む年齢ではない。そのうち不死鳥と呼ばれる日がくるのではないか。そんな予感が…。

 

※肩書・年齢はテキスト掲載当時のものです。

 

■『NHK囲碁講座』2019年12月号より

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