趣味

安用寺孝功六段、有言実行で2度目の本選入り


2019.08.14

左/谷川浩司九段、右/安用寺孝功六段 撮影:河井邦彦

第69回NHK杯1回戦第5局は、谷川浩司(たにがわ・こうじ)九段安用寺孝功(あんようじ・たかのり)六段の対局となった。高野悟志さんの観戦記から、序盤の展開を紹介する。

 

 

*  *  *

 

見事に有言実行

 

「再びこの舞台で」

 

昨年11月号の本誌、安用寺が書いた自戦記のタイトルだ。初出場となったNHK杯の2回戦で惜敗したときのことである。そして今期、見事に有言実行し、3連勝で予選を突破。この舞台に戻ってきた。快挙と言っては失礼だろうが、プロ入り19年目で初出場した棋士が20年目で2度目の本戦入りは、称賛に値すると思う。

 

控え室で安用寺に「はじめまして」とあいさつされた。あちらにとっては当然のことだが、こっちからすると「お久しぶりです」となる。

 

最も古い記憶は20年以上前、東西合同で行われた奨励会旅行でのこと。安用寺三段と今泉健司三段(現四段)が印象的だった。肩で風を切るように歩く姿はかっこよく、級位者の私にはまぶしく映ったものである。

 

その時に一度だけ話しかけられた。安用寺の気さくな感じと、「2日連続の徹夜はきついや」と言う豪快な今泉三段の笑い声をよく覚えている。

 

さて盤上。過去2回の対戦(谷川の2ー0) と同じ相振り飛車になった。

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昭和の匂い

 

先手は金無双で、後手は美濃囲い。人工知能(AI)の影響で将棋がどんどん変わっていく昨今、懐かしい感じの序盤で、「昭和の匂い」などというフレーズも浮かんだ。いつか古いとか懐かしいとかいう意味で、「平成の将棋」なんて言葉も使われるようになるのだろう。

 

安用寺は△6四歩から動いた。先手の桂を跳ねさせて△6三金(3図) と手厚い陣形を築く。好形だが、相手の駒を呼び込んで怖さもある指し方だ。

 

「谷川先生に攻められたら苦しそうなので、自分から攻めたい」と話した対局前インタビューとは、真逆の展開である。

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大きな拠点

 

谷川は▲8四歩△同歩に▲8五歩と継ぎ歩し、▲8四歩と垂らす。大きな拠点ができた。対して△7一玉なら穏やかで、▲8五飛△8二歩▲3六歩というのが感想戦で出た手順である。

 

安用寺は駒音高く△5四金。解説の阿部八段は「えっ」と大きな声を上げる。先手の桂は助からないが、金や銀を渡すことになるので、リスクも大きい。▲8五飛に△6五金と、金で桂を取った。これは▲同銀△同銀で盤上に銀が残るというのが利点だ。「7四の地点に利きがあるのが大きい」と安用寺。先手は当然、▲8三金と打ち込む。

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※投了までの棋譜と自戦記はテキストに掲載しています。

※肩書はテキスト掲載当時のものです。

 

■『NHK将棋講座』2019年7月号より

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