趣味

大人気! ‘団十郎’ってどんなアサガオ?


2019.08.18

柿渋色の大輪の花が黄色の葉に映える団十郎朝顔。撮影:福田稔

「団十郎あるかい?」。

 

毎年初夏の七夕前後三昼夜の入谷朝顔まつりでは、店先でこんな会話が聞こえてきます。‘団十郎’は希少な茶花の人気品種。その名は市川團十郎が歌舞伎十八番でまとう素襖(すおう)の色にちなみます。東京都農林総合研究センターの田旗裕也(たはた・ひろなり)さんが、‘団十郎’の成り立ちと特徴を教えてくれました。

 

*  *  *

 

団十郎朝顔の成り立ち

 

‘団十郎’は最も名の知れたアサガオの品種です。その発祥は、幕末から明治に活躍した入谷(現・台東区)の植木屋(棒手振〈ぼてふ〉り)成田屋留次郎が大きく関与したと考えられています。歌舞伎の市川團十郎のファンだった山崎留次郎は、屋号を團十郎の屋号の成田屋に変え、柿渋色(団十郎茶)の丸咲きアサガオを‘団十郎’と名づけ、人気を得ました。

 

留次郎の扱った‘団十郎’は、花色こそ明らかになっていますが、花の覆輪や葉の模様などに関してはいまだ謎が残っています。明治23年の『朝顔銘鑑』では、斑入りの黄葉で柿色覆輪咲きと紹介されていることから、団十郎茶のアサガオを、広く‘団十郎’と呼んだと考えられます。

 

団十郎朝顔の特徴

 

現代の専門家の間では、「黄蝉葉栗皮茶丸咲大輪(きせみばくりかわちゃまるざきたいりん)」が‘団十郎’の正確な特徴表記です。黒みがかった褐色の大輪咲きで、葉は蝉葉(大輪咲きの、セミが翅を広げたような葉の形)、葉色は黄色です。‘団十郎’は、雄しべの奇形で花粉が少なく、素股(すまた/葉のつけ根に葉芽や花芽がつかない)が生じやすいことから、花やタネがつきにくい傾向があります。

 

昭和の入谷朝顔まつりでは、茶色花のことを一般に‘団十郎’と称しましたが、近年は江戸川の生産者を中心に、一部の店先で正確な‘団十郎’を生産販売する動きがあります。この‘団十郎’は、1本植えであんどん仕立てまたはつるを摘心して伸ばさずに栽培する切り込み仕立てで販売されています。

 

※テキストでは、タネから‘団十郎’を育てるポイントを紹介しています。開花鉢を購入したら、タネを採ってまいてみましょう。

 

■『NHK趣味の園芸』2019年8月号より

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