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憧れ続けてきた舞台に立った日 – NHK杯戦初出場 長谷部浩平四段の自戦記


2019.06.20

左/長谷部浩平四段、右/屋敷伸之九段 撮影:河井邦彦

第69回NHK杯将棋トーナメントが開幕した。1回戦第2局には予選初出場で見事本選へと駒を進めた長谷部浩平(はせべ・こうへい)四段が早くも登場。対戦相手はトップ棋士の一人、屋敷伸之(やしき・のぶゆき)九段。長谷部四段の自戦記から、序盤の展開をお伝えする。

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*  *  *

 

憧れ続けてきた舞台

 

少年のころ、日曜日の朝になるとテレビにかじりついて憧れであるプロ棋士の一挙手一投足を食い入るように見た。

 

奨励会の有段者になってからは同世代の棋士の活躍に時折気圧(けお)されながら、それでも強くなるための何かがその中にあるような気がして真剣に画面を見つめていた。この舞台に立つことは小さいころからの夢であり、棋士になってからの目標だった。

 

予選では、佐藤秀司七段、横山泰明六段、髙野智史四段と対戦した。お三方とも重厚な棋風の本格派居飛車党であり、厳しい戦いばかりだったが、早指しらしく目の前の局面に集中していったのが幸いし、本戦に出場することができた。

 

全国の少年少女が憧れ、全国の将棋ファンが注目しつづけるその舞台に、自分も立つことができた。支えてくださる方々への感謝の思いを胸に、今の私が持っている力を精一杯出せるよう頑張ろう。そう思い盤の前に座った。

 

対戦相手は屋敷九段。押しも押されもせぬトップ棋士だ。振り駒の結果は先手。戦型はこちらの誘導で角換わりとなった。

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最新型で戦う理由

 

「プロの将棋は同じような形ばかりで見ていてつまらない」という温かくも厳しいファンの方の声を耳にする。そういった将棋を指すことが多い私としては、そのお声に自分なりの解釈をして対局に向かっている。

 

たとえ同じ形に見えても最新型で戦うべき理由はそれぞれ異なる。「同一局面」であっても、「同じ形」は一つもないのだと思う。私は駒に息を吹き込むよう、駒組みを進めていった。

 

屋敷先生は△6五歩と開戦をし、銀交換から△6五桂で積極的に攻勢を握りにきた。対応を間違うと一気に持っていかれる。トップの恐ろしさのひとつだ。

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未知の局面へ

 

3図から▲9七桂と跳ね、攻防に利く後手の飛車に対応を尋ねた。△8一飛に▲6三歩から▲7二角と攻める。

 

手の流れは好調でも、盤の前に座るのは屋敷先生。ここから先は疑心が暗鬼を呼んでしまわないよう自分との戦いでもある。自分を信じて一手ずつ指し手の糸を紡いでいけるかどうか。そこに勝敗は掛かっている。

 

とうに持ち時間は使い切り、NHK杯特有の考慮時間のシステムにも対応しながら指していく必要がある。

 

小刻みに考慮時間を使い、桂馬を取り、空いた6四のスペースに歩をねじ込む。

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※投了までの棋譜と自戦記はテキストに掲載しています。

※肩書はテキスト掲載当時のものです。

 

■『NHK将棋講座』2019年6月号より

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