趣味

桑原陽子六段、知念かおり六段との友情の詰まった一手


2019.06.14

撮影:小松士郎

桑原陽子六段は、遅咲きながら男性と一緒の一般枠での入段を果たし、悲願のタイトルも獲得。温かく優しい気持ちにさせてくれる笑顔の持ち主でもあります。今回は、友情の詰まった「一手」を語っていただきました。

 

*  *  *

 

一緒にタイトル戦を打とうね

 

私は、囲碁を覚えてから通っていた当時の「木谷会」で、小林光一(名誉棋聖)先生に声をかけていただき、弟子入りしました。師匠の光一先生と、亡くなられた小林禮子(七段)先生には本当に親のように温かく見守っていただき、支えていただき、そのおかげで今があると感謝しています。院生になってから、男性と一緒の一般枠で入段できるまで、次点が続いたりして長い時間がかかったのですが、今振り返ると、自分に足りないものを考えるいい時間になっていたなと思います。

 

その院生のときからずっと仲良しだった知念(かおり)さんとの女流本因坊戦の第1局から、今回の一手を選びました。

 

知念さんと初めて会ったときのこともよく覚えています。お名前は存じていたのですが、知念さんは東京に出てきた心細さもあったかもしれないのに、ひまわりのような笑顔で、明るい印象で、会った瞬間から大好きになりました。同じ年ですし、仲良しになり、手書きの手紙のやりとりをしたり、「プロになって一緒にタイトル戦を打ちたいね」とか…、本当にいろんなことを話し合ってきました。私が入段したときは、知念さんはすでにタイトル戦の舞台で活躍されていました。焦りなどは…あまり覚えてないですね(笑)。活躍はとてもうれしかったですし、憧れというか…仲良しなのは変わらなかったですね。

 

挑戦者決定戦は大阪対局で、台風で移動が大変でしたし、苦しい碁だったのですが、何とか勝てたときは、知念さんとタイトル戦を打てるという喜びが大きかったですね。

 

第1局は、知念さんの故郷の宮古島でした。知念さんのファンがもちろん多いのですが、私も知念さんのファンなので皆さんの気持ちがよく分かりますし(笑)、知念さんのほうがプレッシャーがあるかもしれませんし、対局地のことは気にせず、とにかく二人で過ごせるのがうれしくて「私たち仲がよすぎかな。タイトル戦だからもっと距離を置かなきゃ駄目かな」と話していたくらいでした(笑)。

 

知念さんは、読みが深くて、バランスもよくて、どんな碁も打てるのですが、特に大局観に明るい棋風というイメージがあります。私は、途中から地を取るようになったのですが、基本はやはり戦いが好きです。知念さんは戦いも強いので、戦いになったからといって有利になるわけではないのですが、一生懸命打つしかないですし、打ち始めてからは、あまり相手を意識せずに盤上に集中して打てたかなと思います。

 

※後半はテキストでお楽しみください。

※肩書・年齢はテキスト掲載当時のものです。

※この記事は2月24日に放送された「シリーズ一手を語る 桑原陽子六段」を再構成したものです。

 

取材/文:高見亮子

 

■『NHK囲碁講座』2019年5月号より

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