趣味

羽生善治九段、7年ぶりのNHK杯優勝


2019.05.25

撮影:河井邦彦

平成最後の年に、11回目のNHK杯将棋トーナメント優勝を果たした羽生善治九段。勝利後のインタビューをお届けする。

 

*  *  *

 

――今回、7年ぶりの優勝でした。

 

羽生 もうそんなにたつんですね。決勝を戦う感覚自体忘れていたので、ある種の緊張感がありました。

 

――昨年末、竜王位を失って九段を名乗ることになりましたが「まだまだ健在だぞ」とアピールしたい思いは強かったでしょうか。

 

羽生 いえ、そこは平常心で。タイトルを持っていても持っていなくても棋士としての課題は不変ですし、藤井聡太さんをはじめ若い人たちが活躍する現状にも変わりがありませんから。年度末によい結果を出せたことで、前を向いていける気持ちになりました。

 

――準決勝までを振り返ると?

 

羽生 展開がめまぐるしく、局面についていくのが大変という将棋が多かったです。最近は特にそういう傾向が強いのですけれど。

 

――決勝戦の対局前の心構えは。

 

羽生 持ち時間が短い中で、集中力を切らさずにやれればと思っていました。対戦相手の郷田さんは本筋を追求する棋風で毎局、何かしらの工夫がある印象です。どのような戦いになるかは予測が難しいので、そのつど何とか対応していきたいと考えていました。

 

――本局のハイライトは▲4三歩の場面だったと思います。解説の佐藤九段はこの歩について「意味が全くわからない」とぼやき続けていました。

 

羽生 佐藤さんは酷評されていたんでしょうか。感想戦では、佐藤さんが全くしゃべらないのでおかしいなと思っていました(笑)。こちらからすると、△4三同銀と取る手は6三の金が浮くので指しにくいのではないかなと。本局のような将棋では形として部分的にあるパターンをどう組み合わせるかが難しいんです。決勝戦はその判断が結果的にうまくいきました。

 

※肩書はテキスト掲載当時のものです。

※後半はテキストに掲載しています。

 

■『NHK将棋講座』2019年5月号より

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