趣味

「平成四天王」羽根直樹九段、精神面を鍛えられた初めての七番勝負


2019.04.23

撮影:小松士郎

「平成四天王」の名のごとく数々の名勝負を残し、第一線で活躍し続ける羽根直樹九段は、地元ファンを大事にするお人柄も魅力です。今回は「精神面を鍛えられた」七番勝負から印象深い一手を語ってくださいました。

 

*  *  *

 

いい結果を報告したかった

 

「平成四天王」というふうに取り上げていただいたことは、ありがたいなと思っております。若手のころから同じように駆け上がってきたメンバーですので、やはり活躍ぶりは気になりますし、「あの三人に後れずに必死についていかなきゃ」という思いにさせてくれ、自分にとっては非常にプラスでした。

 

今回は、その一人、山下敬吾さんとの棋聖戦七番勝負の第7局から一手を選びました。挑戦権を獲得したときは、初めての七番勝負でしたし、私が所属する中部総本部ではまだ誰も三大タイトルを獲得できていないという状況でしたので、地元の期待も感じました。「みんなにいい結果を報告したいなぁ」という思いと、「二日制でどんな碁が打てるんだろう」という楽しみとの間で揺れ動いた感じでしたね。

 

山下さんとは、そのころも大事なところで負かされていましたし、破壊力で圧倒されるようなところもありましたので、得意な感じではなかったですね(笑)。ちょっと厳しい相手だなと感じていました。ただその年は、直前に天元戦でも五番勝負を山下さんと戦って、勝っていました。それがすごく好材料で、たぶん、苦手意識というのは吹っ切れていたのではないかなと思います。

 

開幕から山下さんに3連勝したのは出来過ぎでした。自分でも「いいのかな?」という感じで、ひょっとしたら勝ててしまうんじゃないかと思いましたね。でも、4局目に、際どい一局をしっかり半目負かされたことで、「流れを失ってしまったのではないかな…」と、嫌なものを感じました。5局目に完敗をしまして「もう、これは7局目までいくな」と思い、6局目は、悪い流れや「もう負けるんじゃないか」という精神的な圧迫感をすべて吹っ切るために打ちました。「勝てるかも」と思った一瞬の緩みをリセットしなければいけないなと思ったのですね。7局を通す、何か月もの精神的なコントロールが難しいことをすごく感じました。

 

6局目を負けたあとは「あとはやるだけだな」と。7局目は、結果を純粋に受け入れようと無心に返り、普段どおりの平常心に戻っていたような気がします。

 

※後半は『NHK囲碁講座』2019年4月号に掲載しています。

※この記事は1月27日に放送された「シリーズ一手を語る 羽根直樹九段」を再構成したものです。

 

取材/文:高見亮子

 

■『NHK囲碁講座』2019年4月号より

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