趣味

谷川の攻め、稲葉の受け


2019.01.29

左/谷川浩司九段、右/稲葉 陽八段 撮影:河井邦彦

第68回NHK杯戦2回戦第13局は、谷川浩司(たにがわ・こうじ)九段と稲葉 陽(いなば・あきら)八段の対局となった。美馬和夫さんの観戦記から、序盤の展開を紹介する。

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*  *  *

 

凛(りん)とした空気

 

対局前の控え室の空気は和やかなものだった。解説担当の井上慶太九段は谷川浩司九段の2歳年下の弟弟子であり、また稲葉陽八段の師匠でもある。つまり谷川と稲葉は、若松政和七段一門での伯父甥(おい)の関係だ。

 

やがてスタジオに場を移し、振り駒で谷川の先手が決まった。谷川が駒を取り出し、王将を5九に据え、以下ともに大橋流で駒を並べていく。その姿から徐々に両者の気持ちが高まっていくのが見て取れた。控え室とは一変した、凛とした空気が対局場にただよった。

 

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谷川の攻め、稲葉の受け

 

本局、谷川が勝てば1300勝のメモリアル対局となる。

 

しかし稲葉との対戦は意外や過去5戦5敗。画面に映る谷川が、やや緊張気味に見えたのはそのためか。

 

稲葉には横歩取りの選択もあったが、予定だったのだろう。谷川得意の角換わり腰掛け銀へ、両者申し合わせたかのようにスラスラと駒組みを進めて行く。

 

▲2五歩△3三銀で先後同形。▲6六歩に稲葉は△6三銀と銀を引き、▲7九玉には△5四銀(2図)と再び腰掛けた。

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ここで谷川の手が止まった。

 

「▲8八玉は戦場に近く先に攻められやすい。考えるところ」と井上が言う。

 

やがて指されたのは▲4五桂。過去の谷川・稲葉戦は谷川が先攻し、稲葉が受けに回る展開が多く、本局もそうなった。

 

△2二銀は跳ねた4五桂を取りに行く構想。▲2四歩に稲葉は△4四歩(3図)。井上は「強い手。△2四同歩も普通」と評した。

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△4五歩に代えて△2四歩は、以下▲7三歩成△同金▲6二角△6三金▲5三桂成△同金▲7三歩(▲7三角成はさえない)が部分的な定跡手順で、この垂らしが妙に受けづらい。

 

▲4四桂(4図)に「いきなり襲いかかりましたね」と井上。これを見て稲葉が長考に沈む。

 

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「練習将棋で経験があった形だが、ここで▲4四桂は想定外」と、局後に稲葉は吐露した。

 

※投了までの棋譜と観戦記はテキストに掲載しています。

※肩書はテキスト掲載当時のものです。

 

■『NHK将棋講座』2019年1月号より

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