趣味

観戦記者が語る注目の戦いの舞台裏


2018.12.31

観戦記者の後藤元気さんが将棋界のエピソードを綴る連載「渋谷系日誌」。今月は、NHK杯戦の注目の対局を取り上げます。

 

*  *  *

 

注目の一戦

 

自戦記は加藤桃子初段に、森内俊之九段との一戦を書いていただきました。本文にあるように、加藤さんは保持していた女王のタイトルを失冠したため、肩書は奨励会初段ということになります。

 

NHK杯戦の最低段での優勝は、櫛田陽一七段が四段当時に達成しています。通常はプロ棋士、四段にならなければ参加できない棋戦なので、四段優勝の記録を更新することは不可能(四段になってから何年何か月という記録なら更新可能ですが) と思われていました。

 

しかし今回はめぐり合わせの妙があったため初段の肩書で2回戦を指すことになり、優勝記録を大幅に更新するチャンスだったわけです。

 

余談ですが、女流棋士と永世称号保持者の対戦は、第53回の中原誠永世十段―中井広恵女流二冠があります。中井さんは翌年も1勝して現在は永世棋聖の称号を持つ佐藤康光さんと戦いましたが、このときはまだ資格を持っていませんでした。

 

森内―加藤戦は、加藤さんにも面白そうな局面があったものの、全体的には森内九段が手厚い将棋だったようです。第67回に生放送で行われた藤井聡太七段戦に続き注目される一局を迎えたわけですが、いずれも若者に胸を貸すような堂々とした指しまわしで、さすが永世名人という貫禄と風格がありました。

 

竹馬の友

 

渡辺明棋王と三枚堂達也六段の一戦は、際どく攻めをつなげた三枚堂六段の勝利。まさに平成の新格言「三枚堂の攻めは切れない」ですね。

 

この格言は「4枚の攻めは切れない、3枚の攻めは切れる」という古くからの格言のパロディ。細いながらも切れない攻めは渡辺棋王の十八番の展開でもあるので、お株を奪った快勝劇といえるかと思います。

 

この対局の解説は、新タイトルの叡王を獲得した髙見泰地さん。髙見さん、三枚堂さん、佐々木勇気さんあたりは少年時代からいつも一緒にいる印象で、きっと仲がよいからこそ負けたくないという間柄でしょう。

 

総合成績優秀者として本戦にシードされ、勝ち上がってきた三枚堂さん。髙見さんは予選の決勝で佐々木勇気さんに負けて本戦入りできなかった経緯があり、やはりこの3人は競って伸びていくのだろうなと感じました。いいですね、そういう関係。

 

髙見さんと佐々木さんが石田和雄九段門下。三枚堂さんは関西に縁があって内藤國雄九段門下です。ついセットで見てしまいがちなので注意しなければいけません。

 

■『NHK将棋講座』2018年12月号より

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