趣味

誰からも尊敬される井上慶太九段、誰からも好かれる糸谷哲郎八段


2018.08.28

左/井上慶太九段、右/糸谷哲郎八段 撮影:河井邦彦

第68回 NHK杯戦 1回戦 第11局は、井上慶太(いのうえ・けいた)九段と糸谷哲郎(いとだに・てつろう)八段の好カード。放送時解説は井上九段門下の船江恒平六段が務めた。森充弘さんの観戦記から、序盤の展開を紹介する。

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*  *  *

 

ユニークな出だし

 

糸谷の△6二銀〜△3二金〜△7四歩(1図)は変わった手順だが、昨年の秋ごろから糸谷および糸谷の兄弟子の山崎隆之NHK杯が指し始めた戦法で、非常に高い勝率をあげている。7四の歩を取らせ、手得を生かして好陣形を築くという狙いだ。

 

「共同研究をしているわけではないのですが、お互いにやって勝っているのを見て、またやるという感じです」(糸谷)

 

本局も▲7八金までは、前期の斎藤慎太郎七段―山崎隆之八段戦と同じ手順をなぞり、そこからは糸谷独自の道に進んだ。

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燃える糸谷

 

「豊島さんと稲葉さんが活躍すると、糸谷君も燃えて成績も上がる」

 

これは、今年の5月に大阪で行われファンが250人以上参加した森信雄七段一門の祝賀会で、山崎NHK杯が語ったこと。

 

糸谷と奨励会時代から切磋琢磨(せっさたくま)し合ってきた稲葉陽八段の名人戦挑戦、豊島将之八段のA級順位戦での活躍が刺激となり、糸谷が今年A級昇級を果たす原動力になったというのである。

 

そういう意味では前期のNHK杯戦でも、稲葉八段は準優勝、豊島八段は準決勝まで進出しており、糸谷の闘志が燃える展開。糸谷は対局前のインタビューで「今期は皆さんに覚えていただけるような活躍をしたいと思います」と抱負を語った。

 

井上は、3月に藤井聡太六段(当時)に勝ち、マスコミでも大きく取り上げられた。一門の稲葉八段、菅井竜也王位も対藤井戦で勝っているので、井上一門を“藤井キラー一門”と書く新聞もあったほど。

 

森一門祝賀会では井上が来賓を代表してあいさつをしている。「関西では森一門と井上一門が二大一門と言われていますが、森一門には人数ではとてもかないません。ただ、ウチの一門は藤井君には強いです」

 

会場は大受け。その後、井上らしい温かい祝辞が続いたが、「NHK杯については残念な思いがあるのですが」と前期決勝で稲葉八段が山崎NHK杯に敗れたことに触れ、最後は「井上一門には負けてほしい」とユーモアあふれる言葉で締めた。

 

井上はインタビューでは「予選では逆転の連続で本戦に出ることができましたので、その運を生かして本局も頑張りたいと思います」と語っている。

 

本局の解説は井上門下で糸谷とは奨励会同期の船江恒平六段。

 

「師匠はいつも穏やかで誰からも尊敬されています。糸谷さんは昔からユニークな性格で誰からも好かれている」(船江)

 

序盤の△2二銀が糸谷流で、銀冠にするのが狙い。

 

「銀冠に組むのに普通ならかなり手数がかかりますが、後手は手得をしているので容易に銀冠にすることができます。山崎さんは△2二銀と上がるのは好きではありません」(船江)

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※投了までの棋譜と観戦記はテキストに掲載しています。

※肩書はテキスト掲載当時のものです。

 

■『NHK将棋講座』2018年8月号より

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