趣味

ベスト4は元院生の20代——―全日本女流アマチュア囲碁選手権大会


2017.07.06

左から金子もと子さん、大島玲奈さん、岩田紗絵加さん、呉理沙さん 撮影:小松士郎

3月11、12 日の2日間にわたり、女流アマチュアの日本一を決める全日本女流アマチュア囲碁選手権大会が日本棋院にて開催された。小学生から80代のベテランまで、全国各地で行われた予選突破者とシード選手の合わせて96人が、華やかな戦いを繰り広げた。今回は、20代がそろったベスト4にスポットを当てた。

 

*  *  *

 

熱く華やかな戦い

 

1959年にスタートして以来、20人近くの女流棋士を輩出するなど女性囲碁ファンが目標としてきた本大会。ここ数年は小・中学生の割合が目立つなど低年齢化が目立ってきていたが、今年はさらに世代交代が進んだようだ。

 

初日の1次リーグを勝ち抜き、2日目の準々決勝に臨んだメンバーには、昨年のベスト8からは4人しか残らなかったことからも、参加者のレベルが総じて高いことが分かる。その中には、おととしに続いて親子での入賞となった大沢摩耶さん・大須賀聖良さんの顔もあった。

 

準々決勝では、大沢さん親子、おととし準優勝の久代迎春さんが姿を消す。ベスト4に残ったのは、全員が20代、そして院生経験者だ。

 

ベスト4は元院生の20代

 

その中の一人、関西代表で初出場の金子もと子さんは、中学2年まで日本棋院関西総本部で院生だったが、院生を辞めてから十数年は完全に囲碁から離れていたそうだ。そして今回初出場でのベスト4に「奇跡すぎて…。うれしいです」と本人がいちばん驚いた様子。

 

その金子さんも、準決勝でシードの大島玲奈さんに破れる。大島さんは昨年の優勝に続き、2年連続の決勝進出だ。

 

大島さんは、予選から常に早い段階で持ち時間を使い切り、時計から流れる「9」の声とともに石を打ち下ろす時間が続く。はたから見ていると心臓に悪いが、本人は何事もないという表情で打ち進める。

 

もう一人の決勝進出者・岩田紗絵加さんは、準決勝で昨年の準優勝者・呉理沙さんを短手数で破るなど豪腕で勝ち抜いてきた。この大会の1か月前まで、プロ試験という真剣勝負の場にいたことも、いいほうに影響しているのかもしれない。対する大島さんも、昨年は同様にプロ試験後のこの大会で初優勝を飾っている。

 

岩田さんが初優勝!

 

注目の決勝戦は、前半岩田さんがペースを握るが、一手のミスから形勢不明に。大島さんはいつもどおり序盤で持ち時間を使い切るが、秒読みに追われたのか中盤以降に乱れ始める。最後は岩田さんが中押し勝ちで初優勝を飾った。

 

岩田さんは、一般大会ではおととしのアマ名人戦の東京代表になるなど、その実力は知れ渡っているが、これまで優勝の経験は皆無だった。おととしの全日本学生十傑戦では準優勝、そしてプロ試験でも、「あと1勝」ということが多く続いた。「今回の優勝で、やっと壁を破れたかなと思います」と、岩田さんにとって大きな自信になったようだ。

 

毎年新星が現れるこの大会は、来年60回を迎える。主役の座に就くのは、あなたかもしれない。

 

優勝した岩田紗絵加さんの話

 

保育園の年長のときに、たまたま母が買ってきた入門書を読んで囲碁に興味を覚えました。近所の碁会所に通っていたとき、偶然吉原由香里六段が来てくださり、それがきっかけでプロを目指すようになりました。

 

小学5年で院生になり、高校3年のときは大学受験のためプロ試験を受けませんでしたが(慶應義塾大学環境情報学部に合格)、その翌年からまたプロを目指して現在まで毎年試験を受けています。

 

ふだんは洪清泉三段が主宰する洪道場で週に2、3日、プロ試験受験中は週に5日、朝から晩まで勉強しています。

 

棋風は厚くして攻める碁で、武宮先生の棋譜を昔から並べています。

 

今回の大会では、相手の方が無理をしてくるので(笑)、最終的にすべての試合で石を取る碁になってしまいました。最近はおとなしい碁になってきていたので、いろいろな意味で勉強になりました。

 

文・丹野憲一

 

■『NHK囲碁講座』2017年6月号より

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