趣味

国内シェアNo.1の大人気ニンジン「向陽二号」誕生の秘密


2017.02.28

土作りは、タネまきの1か月前にスタート。水はけが悪いと病気になりやすいので、深くまで耕して水が抜けやすくするほか、高畝(たかうね)にするとよい。 元肥(もとごえ)が多いと葉ばかりが茂ってしまい、根が太らなくなるので、適正量をまく。撮影:渡辺七奈

発売から約30年経った今も、ニンジンの国内シェアNo.1だという大人気品種「向陽二号(こうようにごう)」。タキイ種苗の坂巻有一(さかまき・ゆういち)さんに、向陽二号誕生の舞台裏を伺いました。

 

*  *  *

 

プロに聞く ニンジン「向陽二号」

 

大人気品種ですね

 

ニンジンの主力産地の北海道では7〜8割、全国的にも5〜6割のシェアを誇ります。弊社の創業150周年を記念して、1985年、トマト「桃太郎(ももたろう)」と同時に販売を開始しました。その年の目玉商品で、当時としては画期的な品種でしたね。

 

どのような点が画期的だったのですか

 

1つ目は味です。それまでの主力品種「黒田五寸(くろだごすん)」はニンジン臭が強く、子どもに敬遠されがちでしたが、「向陽二号」はニンジン独特のにおいが少なく、劇的においしく、食べやすくなったと好評でした。

 

2つ目は育てやすさです。それまで、1つの品種で春にも夏にもタネまきができるニンジンはありませんでした。「黒田五寸」も秋まき専用品種です。一方、「向陽二号」は晩抽性(ばんちゅうせい/とう立ちが遅い性質)のため、ほぼ一年中タネをまくことができます。ほかにも、根の太りのそろいがよく収穫量が多い、病気にきわめて強いなどの長所があります。特に、しみ腐(ぐされ)病や乾腐(かんぷ)病への耐病性は、国内品種では今でもいちばん強いと思います。

 

3つ目は日もちのよさ、傷みにくさで、これも国内品種では今でもいちばんだと自負しています。当時の流通事情もありますが、かつては北海道の産地で収穫されたニンジンを本州まで輸送して販売する場合、青果店の棚に並ぶころには根の表面が黒ずんで、傷んでいたことが多々ありました。「向陽二号」は、従来品種に比べて水分量がやや少なく、根が堅いことから傷みにくいと喜ばれました。

 

そんなすごい品種を、どうやって作ったのですか

 

もとになったのは、「向陽五寸」という弊社の品種です。優れた品種でしたが、タネが十分にとれず、それを改良しようという目的で育種(いくしゅ)が始まりました。親としてかけ合わせたのは、タネがたくさんとれることはもちろん、春の栽培に優れた晩抽性の系統と、寒さのなかでも根がよく太り、葉が傷みにくい秋の栽培に優れた系統です。優れた両親の長所を色濃く受け継いだ、F1(エフワン〉品種だからこそ実現できた形質ですね。

 

根菜の選抜は、どのように行うのですか

 

根を掘り上げないとよしあしがわからないので、収穫期になったら、一度すべて収穫するんです。そして根を調査し、よいものを選んで植え直したら、花を咲かせて交配させ、タネをとります。

 

露地で栽培する野菜なので、栽培する産地の気候と土質の確認作業も必要です。複数の場所を選定して栽培試験を行い、全国各地で平均点をとれる品種を開発するようにしています。ですから、根を食べる野菜の育種には、すごく時間がかかりますね。

 

取材協力・写真提供/タキイ種苗

 

■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2017年2月号より

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