趣味

半世紀を迎えた「東急将棋まつり」


2016.11.19

この日一番の注目を集めた、羽生善治三冠と郷田真隆王将というタイトルホルダー同士の記念対局。写真/ 藤田浩司

毎年恒例の「東急将棋まつり」は今年で節目の50回を迎えた。夏真っ盛りの8月6日から9日までの4日間、東京・渋谷の東急百貨店で開催された。席上対局や指導対局、書籍・CDサイン会など内容は盛りだくさん。その初日の様子をレポートする。

 

*  *  *

 

一流棋士の技を堪能し、たっぷり将棋にひたる楽しさ!

 

「私が5歳のときに始まったと思うと、感慨深いですね。小学3年生のときに、初めて神戸から東京に出てきて、東急(日本橋)の将棋大会で小学生の部で優勝し、それがプロ入りのきっかけ、自信になりました」

 

そんな風に自身の思い出を振り返って挨拶をしたのは谷川浩司日本将棋連盟会長だ。50回記念となるテープカットを終えると、今年も東急将棋まつりの幕が開けた。

 

席上対局のオープニングを飾ったのは、恒例の「開幕新鋭戦」。梶浦宏孝四段と髙野智史四段が登場し、居飛車同士の対局は横歩取りに。横歩取りの歴史を優雅な語り口で紹介する谷川会長の解説で進んだ一戦は、主導権を握った先手の髙野四段が攻め続けて勝利となった。

 

その後、木村一基八段、長沢千和子女流四段、塚田恵梨花女流2級の指導対局などを経て、会場も少しずつ人出でにぎわってきた。近年の将棋人気を示すように、会場には老若男女、幅広い層が来場している。もちろん熱心な将棋ファンも多い。家族で来場していた長澤一世くんは、北海道在住で小学2年生。現在初段の腕前で、行方尚史八段のファンだという。「行方先生の指導対局を楽しみに来ました。将棋は奥が深く、運が関係ないので好きです」と目を輝かせていた。

 

午後になるとグッと来場者が増えてきた。お目当ては、やはりこの日のメインイベントである羽生善治三冠と郷田真隆王将の記念対局である。タイトルホルダー同士の公開対局とあって、開始時間が近づくと、会場内はこの日一番の人だかりに。通りがかりの人も足を止めて見物していくため、2人が登場する時間には満員御礼だった。

 

対局は相掛かり模様で進んでいたが、21手目に郷田王将の指した▲7七桂に、解説の木村八段が「おっ!」と歓声をあげる。実は対局前に、郷田王将に振り飛車を期待する声があがっており、その空気を読んでひねり飛車となったからである。ただ先に15分の持ち時間を使い切った郷田王将は30秒将棋になり、やや劣勢気味に。4筋からの攻防で羽生三冠が押し切ると、158手で勝利となった。

 

対局後、ひねり飛車を採用した背景に会場の声が影響したかと尋ねられた郷田王将は、「それは…よく聞こえていました」と明かして笑わせていた。公式戦ではまず見られない棋士の戦法を楽しめるのも、将棋まつりならではの醍醐味(だいごみ)だろう。

 

その後、室谷由紀女流二段による「9マス将棋」のコーナーやチャリティーオークション、そして深浦康市九段と行方尚史八段の特選対局を終えて1日目は幕を閉じた。

 

4日間を通じて大盛況のまま、今年も無事終了。半世紀を迎えた東急将棋まつりの、さらなる発展を期待したい。

 

■『NHK将棋講座』2016年11月号より

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