趣味

「ものをつくり、大切に使う」ていねいな暮らしを実践する夫婦に学ぶこと


2013.04.03

織り機でマフラーをつくる英子さん。家事の合間に、時間を見つけて少しずつ進める
撮影:大橋 弘

名古屋市近郊のニュータウン。そこにはとてもすてきな“丸太小屋”がある。設計を行ったのはこの家の住人で、建築や都市計画の専門家であるつばたしゅういちさん。「かつての上司で、尊敬する建築家のアントニン・レーモンドさんの自宅にならって建てました」とのこと。妻の英子さんとともに大地に根ざした丁寧な暮らしを心がけているという夫妻の手作りライフを見せていただいた。

 

*  *  *

 

家の中に入ると、そこは高い天井が開放感を生み出す大きなワンルーム。ベッドルームもダイニングもリビングもみんな一緒です。食事、睡眠はもちろん、しゅういちさんのデスクワーク、英子さんの編み物、すべて一部屋で行われます。広々とした空間で、確かに作業も進みそうです。

 

隣には家を建ててから数年後に増築したという、英子さんの織物のアトリエがあります。姪御さんが紡いでくれるという糸を使って、毎日少しだけ織り機の前に座るのだとか。

 

「長いことやって無理をしてもいけないから。1時間というところでしょうか。家事の合間に、ちょこちょこと。1日でマフラーが1つ出来上がるくらいかしら」

 

出来上がったマフラーは、ほとんど人にプレゼントしてしまうという英子さん。家に残っているマフラーを見せていただきました。自然な色合いの糸で織られたマフラーは奇をてらわないシンプルなデザイン。

 

「糸は染色していないんです。だって、羊さんたちが着ていたものですからね(笑)。そのままで十分。余計な装飾は必要ないと思って」

 

つばた夫妻の家にいると置かれている道具やものが大切に使われ、よく手入れされていることがわかります。

 

「ものもちがいいんです。例えば、レンジは35年、クーラーは25年も使っています。うちは自分の家で精米しているのですが、精米機も37年と、長いこと同じものです」

 

と話すしゅういちさん。英子さんの話によると、電気製品もちょっとした故障であれば、しゅういちさんがパッと直してしまうのだとか。

 

実は、しゅういちさんは筋金入りのヨットマン。大学ではヨット部に在籍、社会人になってからは、自分でヨットを設計してつくってしまうほど。

 

「シーマン(海の男)は、舟の上でものがない状態に慣れていますから。あるものを直して使うんです」

 

つばた夫妻の暮らしの中で、強く結びついている、生活と”つくること”。畑を耕して食べ物をつくる。身につけるものをつくる。子どもや孫のために遊び道具をつくる。しゅういちさんは話します。

 

「既製品でなくて、人がつくったものが好きですね。1か月に1つでも何かつくれば、生活も変わっていきます」

 

しかし、いかにものづくりが好きでも2人のように暮らすのは大変なこと。一朝一夕にはできません。英子さんが話してくれました。

 

「一人一人が一生懸命やると変わるものです。今日よりも明日のほうがよくなる、そう思いながら暮らしています」

 

■『NHKすてきにハンドメイド』2013年3月号より

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