趣味

姉妹の頭髪をお守りに…古代琉球に見える兄妹の絆


2013.03.01

沖縄では血を頒(わ)けた兄妹は、夫婦以上に濃密な関係を持つと信じられていた。沖縄から第二次世界大戦に出征した男たちの無事を祈って、手巾(てきじ)や千人針などを贈ったのは、兄弟の姉妹が八割であり、妻が夫に贈ったのは二割に過ぎなかったという学者の調査報告がある。民俗学者の谷川健一さんに聞いた。

 

*  *  *

 

古代琉球語では男兄弟を「えけり」、女姉妹を「おなり」と云いました。おなりはその霊力で、えけりを守ると信じられ、これを「おなり神(がみ)」と云いました。男兄弟が航海など旅に出るときは、姉妹は芭蕉布または木綿で作った白い手拭を贈りました。これを「おなり手巾」と呼びました。また姉妹の頭髪の毛を守り袋に入れて兄弟に贈るならわしもありました。

 

また航行中、おなりの生霊が白鳥となって守護するという信仰をうたった琉歌もあります。

 

宮古本島の属島の池間島には白鳥岬があります。ある男の乗った船が、その岬の沖の八重干瀬(やえびし)で暴風に遭ったとき、おなり神が白鳥の化身となって天から降りてきて、船の帆柱に止まりました。すると風の神はその力を弱め、雨の神はその手をやすめました。船は神の息が追い立てる順風を受け、走るがごとく目的地まで無事に航海をつづけました。そこで白鳥岬と名づけたという話が伝わっています。

古代日本と同様に南島でも白鳥は霊魂のかたどりと思われていたのです。

 

■『NHK 短歌』2012年12月号より

 

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