趣味

「テレビで勝ちたい」──NHK杯本戦出場をかけた熾烈な争い


2015.06.17

若手を破って本戦進出の北浜健介八段 写真:野間俊克

「お客さんによく言われるんです。NHK杯戦の本戦に出ていないと『引退されたんですか』と。だから、テレビに映る本戦にはどうしても出たい」。このような話をよく聞く。

 

NHK杯戦の本戦に出場するには、一部のシード棋士を除いて予選を勝ち抜く必要がある。1日に2〜3局を戦うがこれが大変で、十数年、本戦に出場していない、という棋士もいる。その熾烈(しれつ)な争いを、関西のブロックから野間俊克氏がレポートする。

 

*  *  *

 

ベテラン陣が健闘

 

関西からは6人が予選を抜けた。井上慶太九段、脇謙二八段、北浜健介八段、藤原直哉七段、杉本昌隆七段、稲葉陽七段。稲葉を除く5人は30〜50代の中堅からベテラン。予選の持ち時間は各20分。切れると一手30秒の秒読み。秒読みの戦いは、手がよく見える若手が有利と言われているが、今回はベテラン陣が若手を退けた。

 

この中で最年長の脇は「第7ブロックはベテラン枠で、いちばん若いのが畠山成幸七段(45歳)だったからね。1、2回戦の神崎健二七段、畠山成七段、予選決勝の南芳一九段には、これまでさんざんやられている。その3人合わせて10勝40敗ぐらい。こんなんで、よう勝てたわ」と喜びを語っていた。

 

テレビで勝ちたい

 

第3ブロックは若手、中堅、ベテランと、幅広い年齢層のメンバーがそろった。西川和宏五段は前々期、本戦ベスト4の快進撃。対局の前日に意気込みを聞いてみた。「前期は本戦の初戦でぼろ負け。まったくいいところがなかった。今期は予選を勝ち抜いて、本戦でいい将棋を指したい」と話してくれた。翌日。西川は初戦で田中魁秀九段と対戦。得意の三間飛車から相穴熊戦となる。研究どおりに進んだようで、わずか63手で完勝。しかし、続く2回戦で北浜に討ち取られた。対イビ穴には自信を持っていたようだが、この将棋は作戦失敗でいいところがなかった。

 

宮本広志四段は初参加。矢倉規広六段との対戦は179手の長手数となったが敗戦。初陣を飾れなかった。「応援してもらっているお客さんから『テレビに出られるように頑張ってください』と言われていたので、いつもより気合いが入っていたんですが…」と残念そう。まだ午後の昼下がりだが、「不完全燃焼ですね」と、西川と連れ立って連盟を後にした。

 

勝った矢倉は2回戦で牧野光則五段と対戦したが、終盤で逆転負けを喫してがっくり。本戦出場は十数年ないとのことで、「久しぶりのチャンスやったのに…」と控室でうなだれていた。

 

予選決勝は北浜―牧野戦。北浜の先手中飛車に対して牧野が急戦を仕掛け、先手の攻め、後手の受けという展開で下図。

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北浜はここで☖7四角を心配していたが本譜は☖5八成銀。これには☗同銀と取った形がしっかりしている。以下は☖6三歩☗5二銀成☖同金☗5三歩成と快調な攻めが続いて圧倒した。

 

 

牧野は「急に食いつかれて駄目にした」と苦笑い。本局の前に公式戦通算100勝を挙げて五段に昇段していたが、本戦進出という花を添えることはできなかった。

 

北浜は昨年の4月に関東から関西に移籍。「関西に来ることは前から考えていました。プロになって、ちょうど20年で区切りが良いかなと。西川五段、牧野五段とは初手合いで、関西の若手との対戦は新鮮です。本戦はこのところ初戦で負けているので、テレビに映ったところで勝ちたいですね」と笑顔で話してくれた。

 

■『NHK将棋講座』2015年6月号より

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