趣味

久保九段が考えた将棋普及の一私案


2013.03.07

『NHK 将棋講座』で好評の連載「さばきはアートだ!」を執筆していた久保利明九段が、最終回にあたって将棋界への思いを綴った。

 

*  *  *

 

昨今少子化が叫ばれているが、その中で将棋を指す子供は右肩上がりに増えてきている。

 

これは将棋界全体が普及に力を入れてきた成果が徐々に表れてきた結果だと思う。ただ将棋を指す人は増えているのだが、野球のように「昨日の○○戦面白かったな」という人は増えてきているだろうか?

 

プロにどういう人がいて、この人はこういう棋風でというように、残念ながらプロのすごさまでは伝えきれていないと思う。せめて、そのときのタイトルホルダーの名前ぐらいわかるような世界になりたいというのが、私の希望というか夢である。

 

地元加古川でのある日のこと。縁台将棋を20〜30人やっている場所で私は少し見学していたのだが、ほとんどの人に誰だか気づかれなかった。何が言いたいのかというと、将棋を熱心に指す人でも、プロの世界に興味を持つ人は少ないという事実だ。

 

これは自分がタイトルホルダーになって初めてわかったことで、タイトルを取っても、それほど世間の人には注目されていないと思った。

 

これをわかってもらうために将棋の普及を皆で一生懸命やるのが大事なのは百も承知なのだが、ただ普及をしていくだけでは自分たちのやっていることは伝えきれないように思う。将棋を指す人が増えるだけでは観(み)る人は増えない。どうやったら観る人が増えていくのか?

 

最近は女性ファンの方を中心に自分が将棋を指すよりも、プロ将棋を見て真剣勝負を楽しむという方が少しずつ増えてきている。こういうファンの方は将棋界にとってすごく貴重な存在だ。こういう人たちが増えていくような方法を見つけることが、自分も含め、将棋界全体で考えていかなければならない課題だと思う。

 

■『NHK 将棋講座』2013年3月号より

 

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