趣味

「女流棋士を“鑑賞”する」― 見ることに特化した将棋イベントが大盛況


2014.12.06

室谷由紀女流初段 撮影:内田 晶

「将棋ファン」と一口に言っても、指すのが好き、見るのが好き、棋士が好き、と興味はさまざま。「指さない将棋ファン」にも楽しめるイベントを、観戦記者の内田晶氏がレポートする。

 

*  *  *

 

「演劇を観る感覚で鑑賞してほしいと思っております。女流棋士の魅力をお楽しみください」

 

開会のあいさつでこう語った遠山雄亮(とおやま・ゆうすけ)五段は、北尾まどか女流二段とともにプロデューサーを務める。昨年初の試みで好評だった「女流棋士の知と美」が今年も開催されることを二人は大いに喜ぶ。

 

最近は女性を中心に見る将棋ファンが急増。“指さないけど棋士や将棋が好き”という新しいファン層が誕生している。遠山五段はその点を踏まえて「指導対局などの指すイベントを負担に感じているファンが多いと聞き、見る専門のプログラムを組んだ」と説明する。北尾女流二段は「有料なので参加者が集まるかどうか不安もあった」と語るが、会場の新宿・紀伊國屋サザンシアターは平日の夜にも関わらず200人以上のファンで客席が埋め尽くされた。その様子を舞台裏から見た出演する女流棋士たちは「ありがたいことです」と予想外の集客に感謝と喜びの気持ちを表していた。

 

トークショーでの秘話

 

第1部のトークショーでは、いくつかのテーマに沿って話が進められた。棋士はサインをする機会が多いことから書道の話題になり、意外なエピソードを聞くことができた。達筆で知られる女流棋士会会長の矢内理絵子(やうち・りえこ)女流五段が「私は小・中学校の書道の時間でしか学んでいません。自宅で色紙を書くときは音楽をかけてノリノリで書いています」と語ると、会場がどっと湧く。矢内女流五段の書を見て、その姿を想像してみるのも面白い。

 

室谷由紀(むろや・ゆき)女流初段は「初めは将棋と書道が結びつきませんでしたが、プロデビューして色紙を書いたとき、あまりのひどさに母が驚き、書道教室へ通わされました。月1回、3年ぐらい通って何とか三段に。将棋より先に段が上がってしまって」と苦笑いを浮かべる。

 

香川愛生(かがわ・まなお)女流王将は「私もこりゃいかんと思って、将棋連盟の書道部に月に1度通っています」と話す。「執念」と揮毫(きごう)することが多く、矢内女流五段は「それが彼女の将棋にも表れている。そう簡単に負けないぞというタイトル保持者としての責任感があっていいと思う」と後輩の姿勢に感心する。

 

続いて席上対局で対戦する両者の将棋についての話題に。香川女流王将が「室谷さんは歳も近く同じ振り飛車党で意識している。ふだんの私は相手が嫌がる作戦を採りますが、室谷さんとの対戦は相手の得意形に正面からぶつかりたい」と言えば、室谷女流初段も「以前、専門誌の取材で香川さんにライバルと言ってもらいました。差をつけられてしまいましたが、またライバルと言ってもらえるように自分も結果を残したい。今日は負けたくないです」と激しい火花を散らしていた。

 

■『NHK将棋講座』2014年12月号より

このエントリーをはてなブックマークに追加

  • bnr-eigo2019

  • テキストビュー300×56

  • bnr-eigo2019

000061992932020_01_136

NHK趣味どきっ!MOOK ひとりでできる!はじめてのスマホ 100の困った!解決ブック

2020年06月25日発売

定価 1100円 (本体1000円)

000000162762020_01_136

サラリーマン川柳 とびきり傑作選

2020年06月10日発売

定価 1045円 (本体950円)

000069233842020_01_136

NHK大河ドラマ・ガイド 麒麟がくる(後編) 

2020年05月21日発売

定価 1210円 (本体1100円)