趣味

腕時計は外す、華美な装いは避ける…意外と知らない仏像拝観の心得


2013.03.01

日本では1400年以上ものあいだ、変わらぬ敬意をもって仏像をおまつりしてきた。しかし、もし仏像が単なる芸術品であったら、これほど古い仏像が残ることはなかっただろう。仏像は“拝むもの”だからこそ、大切にされてきたのだ。東京藝術大学大学院教授(文化財保存学)の籔内佐斗司さんは、信仰の有無によらず、敬意をもって仏像に接するように指導しているという。そんな籔内さんに、仏像拝観の心得を聞いた。

 

*  *  *

 

私は東京藝術大学大学院の文化財保存学講座で仏像修復を担当しています。四年制の大学を出た若者たちが、仏像修理や古典技法を学びに集まってくる講座です。そこで私は毎年、年度のはじめに「心得」を配ります。

 

それは次のようなもので、信仰の有無によらず、敬意をもって接するよう指導しています。仏像には美術的・芸術的な価値にもまして、ほとけさまとしての意味があることを忘れないでほしいからです。拝観のときにも通じることではないかと思います。

 

・寺院では、基本的な礼節をわきまえ、寺院の方や参拝者の迷惑にならないよう行動すること。

・信仰の有無にかかわらず、仏像に対し合掌、礼拝などの礼法を遵守すること。

・お寺の建物は、古く脆弱になっている場合が多いので、みだりにもたれたり触ったりしないこと。

・寺院が信仰や修行の場であることを忘れないようにし、声高な私語や足音をたてないように気をつけること。

・文化財周辺での喫煙や火気の使用は、厳に慎むこと。

・服装は、華美なものや露出の多いものは避け、帽子類は取って動きやすく簡素なものを心がけること。また持ち込む手荷物は最小限にとどめ、乱雑にならないようにまとめること。

・腕時計、装身具など、文化財に傷をつける虞(おそ)れのあるものは、調査の前に必ず外すこと。携帯電話も電源を切るか、マナーモードに設定すること。

・靴を脱ぐ場合、乱雑にならないように整頓し、靴箱があれば整然と収納すること。

・冬場は、足下から大変冷えるので、足回りの防寒を忘れないこと。

・夏場は、虫除けの準備をすること。

・調査終了後は、移動した什物(じゅうもつ)などを元にもどし、清掃に努めること。

 

このほか、「筆記用具を使うときは、鉛筆で。インクのはねるものを絶対に使用しない」「内容物が落下するおそれがあるため、胸ポケットにはものを入れない」「写真撮影やスケッチをしたい場合、かならず許諾を得ること」なども調査の際に注意しています。

 

■『NHKテレビテキスト 趣味Do楽 彫刻家・籔内佐斗司流 仏像拝観手引』より

 

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