趣味

園芸に携わる人はなぜやさしい? 11年かかって解けた謎


2014.11.07

須磨佳津江さん。現在は「ラジオ深夜便」第1、3、5週の火曜日にアンカーを務めている 撮影:大河内 禎

フリーアナウンサーの須磨佳津江(すま・かつえ)さんが「趣味の園芸」の放送に携わったのは、1994年の4月からの11年間。司会のほか、達人に話を聞く「園芸の極意」コーナーや公開収録などで大活躍した姿は多くの園芸人たちの心に残っている。振り返ってみれば園芸にどっぷりのアナウンサー人生。「花のおかげでほんとうに幸せになれた!」と笑う須磨さんに、心に残る講師の一言について語っていただいた。

 

*  *  *

 

須磨佳津江さんが「趣味の園芸」の司会を初めて担当したのは、今から20年前。須磨さんは経験ある司会者ながら、園芸は初心者だった。初回の講師は園芸界の大御所、江尻光一さん。ランの第一人者である江尻さんは、出演者としてもベテランだった。

 

「Aカメさん、この花をアップにして。Bカメさん、この鉢を引きで映してね」

 

江尻さんのディレクター顔負けの采配に、須磨さんはびっくり。講師から話を引きだすのが役目だと思っていたのに、「この花の話題はここから始めて、次にこの話を聞いてもらえば視聴者にも役に立つと思うんですよ」と的確な助言までもらった。「私にはやることがなかったの!」と当時を思い出して笑う。

 

もちろん、カメラの前で緊張してしまう講師もいる。できるだけリラックスしてもらおうと、須磨さんは本番前から雑談を交わすなど気を配った。

 

「でもね、おもしろいことにどんなに緊張している人も、作業の説明に入って土や植物を触り始めると、とたんに生き生きするんです」

 

須磨さん自身も花は大好きだが、育てるのは園芸上手の母にまかせきりだった。だから、「趣味の園芸」の話が持ち上がったとき、「これは、仕事をしながら植物を勉強できるチャンス」と張り切った。

 

「私は視聴者代表。どんどん質問して知りたがり司会者になろう」番組を通して須磨さんは園芸のおもしろさにのめり込み、庭にも花がどんどんふえていった。そんななか、須磨さんは不思議なことに気がつく。江尻さんはじめ、園芸の先生方は、どういうわけか誰もが例外なく穏やかでやさしいのだ。あのやさしさはどこからくるのだろう? あるとき、一人の講師の言葉にその疑問が氷解した。

 

「いろいろな育て方を教えていますが、ほんとうはね、お天道さんにはかなわないんですよ」

 

植物を好適地に植えて、ちゃんと水さえやっていれば、あとは太陽がさんさんと降り注いできれいに花を咲かせてくれる。植え方、育て方も大事だけど、それは自然の営みのほんの一部にすぎない。

 

「そんなふうに大いなる自然の存在を常に意識し、人間にできることの小ささを肌で感じているからこそ、園芸に携わる人は、いつも謙虚でやさしくなれるのでしょうね」

 

■『NHK趣味の園芸』連載「緑のチカラ 人のチカラ」2014年10月号より

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