趣味

「日本人だからリズム感が悪い」は間違い? 誰にでもある「リズム感」とは


2014.09.05

イラスト:城戸ふさ子

「わたし、リズム感が悪いんです」

 

そういわれる方は結構多いのですが、リズム感のよしあしとは一体何でしょうか? ピアニストで作・編曲家の塩谷 哲(しおのや・さとる)さんは、誰にでもリズム感はちゃんとある、と言います。

 

*  *  *

 

リズム感は「リズムを感じる力」とか、「リズムに合わせて歌ったり、演奏する力」といった意味合いで使われます。リズム感が悪いという人の場合、例えばカラオケで歌っていると伴奏とずれてしまうとか、メトロノームに合わせて練習しているとずれてしまうといったようなケースが多いのですが、これは合わせる相手が機械というところに問題があります。

 

かくいう僕も、アルバムの宣伝などで、アルバムから自分のパートだけを消したマイナスワンの音源を使って演奏することがありますが、このときの演奏はあまり楽しいものではありません。人間どうしの演奏であれば、相手のリズムや雰囲気に合わせて、こちらも弾き方をそろえたり、逆にあえて変えたりするのですが、機械相手では、そういった意思の疎通がとれないのです。

 

もちろん、プロとしてきちんとした演奏をしますが、何があってもテンポやリズムの変わらない相手と演奏するのは、おもしろいものではありませんし、正しく合わせるには練習も必要です。つまり、「リズム感が悪い」という人は、もともとリズムを感じる力が弱いのではなく、聞こえてくるリズムに合わせる経験が足りないだけなんです。

 

日本人だからリズム感が……という人もいたりしますが、それも僕は違うと思います。日本が誇る、わびさびの世界の筆頭、松尾芭蕉の俳句を読んでみましょう。

 

「ふるいけや かわずとびこむ みずのおと」

 

このとき、「かわず」の前に、ほんの小さく「んっ」と息をのむようにして、皆さんは読んでいると思うのです。そのまま続けて読んでいる人は少ないでしょう。俳句の読み方やリズムについて特に深く考えなくても、私たちは、それが一番気持ちいいリズムとして感じ、口にすることができるのです。

 

■『NHK趣味Do楽 塩谷哲のリズムでピアノ』より

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