趣味

短歌は「病」をどう表現してきたか


2013.03.03

現在、短歌を詠んでいる人の大多数は六十歳を超える人々だ。その中には程度の差こそあれ、さまざまな形で病気と立ち向かっている人がたくさんいる。本人はもとより、家族や友人の病と接し、それを歌に詠んでいるのだ。「槻の木」編集代表の来嶋靖生氏に、過去と現在の短歌に見られる「病」を聞いた。

 

*  *  *

 

過去、医学が現在のように発達していない当時は、重い病気は「死」と隣り合わせという感覚が一般的でした。従って詠まれる短歌も、死や命と直面するきびしい内容が多く見られました。戦後は病気そのものが大きく変化し、また人の考え方、感じ方も著しく変わり、それに伴って短歌の姿も大きく変わりました。

 

今までになかった医学関係の言葉が次々に詠み込まれるようになりました。「点滴」や「ドレイン」などがそれです。「点滴」は「点滴注射」の略ですが、略語のまま日常化しています。「ドレイン」は体の中から血膿、尿など不要な液体を体外に排出する管。手術などの後に多く用いられます。病気そのものを言うのではなく、病気による自分の感情や感覚の変化を作者の個性それぞれによって描き分けています。

 

このほか最近になって多く詠まれる言葉としては認知症、癌、癌告知、人工透析、透析、内臓摘出、移植、リウマチ、筋ジス(筋ジストロフィー)、内視鏡、リハビリ(リハビリテーション)など数限りなくあります。医学の進歩が著しいだけにその用語についても正確な知識が必要、また使用にあたっては慎重な態度が必要です。

 

■『NHK 短歌』2013年1月号より

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