趣味

深刻なスランプに陥った片岡聡九段を救った「ヒゲ」


2014.07.29

撮影:小松士郎

1982年に天元位を獲得した片岡聡(かたおか・さとる)九段。翌々年、三連覇の懸った防衛戦で石田芳夫二十四世本因坊に1勝3敗で敗れ、天元位を明け渡すのだが、実はこのあと、深刻なスランプに陥る。

 

成績が落ち込んだことはもちろんだが、それ以上に「内容がとにかく悪かったことが不振に拍車をかけた」という。

 

何をやってもうまくいかない期間は3年に及んだのだが、その泥沼から脱出するきっかけとなったのが、今や片岡のトレードマークともなっている「ヒゲ」であった。

 

*  *  *

 

26歳の年末に天元を失ったのですが、そのあとは本当に勝てなくなってしまいました。

 

自分でも原因が分からないのです。盤上でもあれこれ試みてはみたのですが、何をやっても結果が出ない──ですから「盤上で駄目ならば盤上以外の形からでも変えてみよう」ということで、ヒゲを生やし始めたんですね。

 

僕はロックが好きでして、昔のロックスターというと、ヒゲを生やしている人が多かったものですから…。そんな憧れがあり、ちょっと気分転換もしてみたかったという理由でした。

 

このヒゲがよかったというわけでもないのでしょうが、このころから「集中的に手を読む」ということを始めたのです。普段の勉強は棋譜並べが多かったのですが、その一局を並べる時間を少し長めにし、一局の中でも手どころの部分を集中的に読むという勉強法ですね。

 

具体的には、趙治勲さんと武宮正樹先生の碁をよく並べていました。このお二人の碁は、大体が大きな死活勝負になるじゃないですか。だからそうした手どころを徹底的に読む──シノギの立場になってみたり、攻めの立場になってみたりという訓練をしたのです。

 

ヒゲを生やすと同時にこういう勉強法を始めてみたら、自分の対局でも踏み込んだ手を打てるようになってきたような気がしました。30歳になる手前からリーグにも入れるようになってきて、30代の前半は完全にリーグ定着という感じで…。一流のメンバーと打っても、いい勝負ができるという自信がついてきたんですよ。

 

■『NHK囲碁講座』2014年7月号より

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